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エコノ探偵団

スマホが原因? 長~い行列が今できる理由

2013/1/15 日本経済新聞 プラスワン

 「帰省のお土産を買うにも、初詣をするにも、行列だらけでうんざり。どうにかならないの」。新年の挨拶に訪れた親戚の言葉に、探偵の松田章司が応じた。「福袋にも長い行列ができるね。初売りに行って、最近の事情を調べてみるか」

■SNS、イベント化後押し

 「もうこんなに並んでいる」。2日午前7時半、章司が到着した東京・銀座には長蛇の列が。8時からの初売りを控えたアップルストア銀座から延びる行列は、約700メートル先の東京メトロ京橋駅まで達していた。

 目玉はiPodなどのアップル製品や周辺機器が詰まった福袋「ラッキーバッグ」(価格は3万3000円)。前日夜9時ごろまでに並ばないと手に入らないほどの人気。寝袋やイスなどを持参している人々の姿もあった。

 先頭付近で並んでいた会社経営の遠藤祐介さん(31)は「前々日の午後5時ごろから並んでいます」と話してくれた。章司が「40時間近く並ぶ価値がありますか」と聞くと「初めて会う人たちと友達になって盛り上がるのが楽しいです」と笑顔で答えてくれた。

 次に向かった三越銀座店では9時45分の開店前に約1500人が行列をつくった。朝5時半すぎから並んでいるという韓国の大学生リュウ・チュヨンさん(21)は「旅行で来ました。銀座で福袋を買ってみたくて早起きしました」と話す。

 「イベント感覚なのかな」。章司は消費者行動に詳しい電通の西井美保子さん(26)に意見を求めた。「SNS(交流サイト)の普及が行列の“イベント化”を後押ししています。並んだ時の状況や気持ちを友達と共有し、話題にしやすくなりました」。スマートフォン(スマホ)のカメラ機能を使えば、行列の風景や商品の画像を送れる。

 ネットに人気の店舗情報があふれるようになり、遠くから訪れる人も増えた。「みんなが評価している安心感のあるモノに飛びつく傾向が強まっています」と西井さんは指摘する。

 次に章司は博報堂生活総合研究所主席研究員の吉川昌孝さん(47)を訪ねた。「スマホや携帯ゲーム機など手軽な暇つぶしの手段が増えたからか、以前より待ち時間にイライラしない人が増えています」。そしてあるデータを取り出した。

 同研究所の「生活定点」調査2012年版によると、友人との待ち合わせで約束の時間を過ぎるとイライラする人の割合は82.5%。10年前の調査より6.4ポイントも下がった。同様に、電車の待ち時間などに「イライラする」と回答した人の割合が低下している。

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