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8時間より7時間のほうが長生き 快眠の新常識 適正時間には個人差も

2012/12/27 日本経済新聞 プラスワン

成長ホルモンは「入眠直後の熟睡期(健康な成人の場合、寝入ってから1~2時間後)にまとめて分泌される」(駒田さん)ことが分かっており、何時に寝ると多く出るかという時刻の問題とは関係ない。成長ホルモンは加齢とともに分泌量が減るので、その確保には「深い睡眠」を安定的にとることが肝要だ。

深くて質のよい睡眠をとるには、まず寝付きをよくする必要がある。そのためには「就床時刻にはこだわらず、眠気に応じて眠くなったら床に就くことが大切」(東邦大学看護学部の尾崎章子教授)。

眠ろうと力まない

従来は「規則正しい就床」が推奨されていたが、最近の研究の結果、眠くないのに床に就くと不必要に長く床で過ごすことになり、途中で何度も目が覚めてしまうなど、かえって睡眠が浅くなることが分かっている。尾崎さんは「30分寝付けなかったら、床から離れる」ことを勧めている。

また「寝付きをよくするために不可欠」と専門家が口をそろえるのが、朝の光の作用。日本大学医学部の内山真主任教授は「毎朝、起きる時刻を一定にし、起きたらすぐに太陽の光を浴びることが快眠の鉄則。日光を浴びることで人体に備わっている体内時計のリズムがリセットされ、そこから14~16時間後に眠気が生じ、自然に眠れる」と話す。

この朝の光によるリセットが行われないと、体内時計の「睡眠と覚醒のリズム」が崩れる。寝付きが遅くなるだけでなく、体に様々な変調を来すので要注意だ。

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■年3.5兆円の経済損失も

睡眠に問題があると、健康に悪い影響を及ぼすだけでなく、日常の仕事においても判断力や決断力が落ちて、遂行能力が低下する。日大の内山主任教授が2006年6月に発表した試算によると、不眠や睡眠不足などが日本経済に及ぼす損失は年間約3兆5000億円。睡眠に問題がある人は、勤務中の眠気で作業効率が大幅にダウンするほか、遅刻や欠勤が多く、交通事故を起こす割合も高かったという。

チェルノブイリ原発事故やスペースシャトル「チャレンジャー号」の爆発事故も、関係者の睡眠不足が一因だったとされる。睡眠時間が1日約3時間と短いことで知られたエジソンは「睡眠は時間の浪費にすぎない」と公言してはばからなかったが、普通の人にとって睡眠は「たかが」で済む問題ではない。

(編集委員 中川内克行)

[日経プラスワン2012年12月22日付]

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