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8時間より7時間のほうが長生き 快眠の新常識 適正時間には個人差も

2012/12/27 日本経済新聞 プラスワン

人は一生の3分の1近くを眠って過ごす。90年生きても、約30年は眠っている計算だ。それなら、できるだけ気持ちよく眠り、仕事や生活によい影響を及ぼしたい。快適に眠る心得を、最近の睡眠学の成果や専門家の話をもとにまとめた。

快適に眠るにはまず、睡眠に関する誤解をなくし、正しい知識を身に付けることが大切だ。誤解が原因で質の悪い睡眠や不眠に陥る恐れがあり、場合によっては慢性疾患や死亡のリスクを高めることもあるだけに、見過ごせない。

低リスクは7時間

代表的なのが「健康のためには1日8時間眠る必要がある」という説。多くの人が一度は耳にしたことがあるだろう。かつては8時間が適正な睡眠時間と考えられていたが、2000年代以降の種々の学術研究の結果、科学的根拠がないことが明らかになっている。

04年に名古屋大学大学院の玉腰暁子助教授(当時)らの研究グループが発表した「睡眠時間と死亡リスク」に関する大規模調査(日本人11万人を10年間追跡調査)の結果によると、調査期間中の死亡率が最も低かったのは男女とも、平日の睡眠時間が「7時間(6.5時間~7.4時間)」の人だった。米国での大規模調査でも、7時間睡眠の人の死亡率が最も低かった。

睡眠時間ごとの死亡率をグラフにすると、7時間を底に睡眠時間が長くなるほど、また短くなるほど死亡率が上がるU字型のカーブを描く。このU字型カーブは「高血圧」「肥満」「抑うつ症」の発症率と睡眠時間の関係をグラフ化しても同様に現れるという。統計的に、睡眠が7時間の人の方が8時間や6時間の人よりも長生きし、健康被害リスクが低いことは知っておきたいデータだ。

だからといって「7時間睡眠がよい」とは言い切れないことが難しいところだ。東京医科大学睡眠学講座の駒田陽子准教授は「適正な睡眠時間は個人差が大きく、体格や体質、体調、加齢によって変わってくる。結論は『人それぞれ』で、自分が昼間にいきいきと生活できるような長さの睡眠時間を自分で見つけるしかない」と指摘する。

睡眠に関するもう一つの誤解は「健康や美容のためには夜中の0時より前に、または0時をはさんで眠るのが望ましい」という説。特に午後10時から午前2時の間は「お肌のゴールデンタイム」とも呼ばれ、重要視する女性も多い。しかし、これも科学的根拠はない。

「0時またぎ説」の理由とされるのが、体の疲労回復や新陳代謝を促す「成長ホルモン」が睡眠中の0時前後に最も多く分泌されるというものだが、これは事実と異なるという。

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