大手の半額 格安レンタカーなぜ急増?

「危機が新ビジネスの原動力か」。章司は経営史に詳しい一橋大学教授の橘川武郎さん(61)にも意見を求めた。「産業には寿命があります。長寿企業は多角化に成功しています」

例えばデジタルカメラの普及で様変わりした写真市場。富士フイルムはデジカメを開発しながら高機能材料や医療関連などの分野へ事業領域を広げていった。これに対して米大手のイーストマン・コダックは、事業の構造転換が遅れ経営破綻に追い込まれた。「手遅れにならないよう、ピンチの時は危機感を持って経営改革を進めることが重要です」と橘川さん。

「うちの事務所は先行き大丈夫だろうか」。事務所に戻った章司がつぶやくと、所長が胸を張った。「経済調査まで手を広げて多角化しているから、意外と不況に強いんだぞ」

<車離れ、中古車も打撃? エコカー普及政策も廃車促す>

新車販売が低調だと中古車の下取りが減り、販売も鈍る

若者を中心とした「車離れ」が指摘されるなか、国内の中古車市場も縮小傾向にある。日本自動車販売協会連合会(自販連)によると、2011年の中古車登録台数(軽自動車は除く)は377万台と、5年前より25%減った。足元では被災地での需要増などから販売台数はやや回復しているものの、新車販売が低調で中古車の下取りが減り、販売も鈍るという構図が続いている。

特殊要因が中古車の流通量を一時的に減らしたこともある。08年の北京五輪開催前には、中国での建設ラッシュを背景に金属価格が急騰。買い手がつきづらそうな車は解体して、鉄やアルミのスクラップとして売りさばいた。ただ建設が一段落すると需要は落ち込み金属価格は元に戻った。

09~10年にエコカー普及のため実施された「スクラップインセンティブ」という政策も流通量を減らした。登録から13年を超える車を廃車にしたうえで環境対応車に買い替えると、国が最大25万円の補助金を出す仕組み。まだ乗れる車でも、下取り価格が安い場合は多くがスクラップとなった。

まだ使える日本製中古車の有効活用策として、格安レンタカーのようなアイデアも必要になりそうだ。

(畠山周平)

[日経プラスワン2012年12月15日付]

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