大手の半額 格安レンタカーなぜ急増?

厳しい給油所、経営補う

全国に1000店近くを展開する「ニコニコレンタカー」の運営会社、レンタス(横浜市)も訪ねてみた。同社も中古車を活用しており、小型車を12時間借りても2525円。「実は全国の給油所がフランチャイズ加盟し、急速に店舗数が広がっているのです」と専務の小林修さん(63)。

この1年で店舗数は3割増えた。全店のうちおよそ7割が給油所に併設された店舗だという。給油所はガソリンの販売競争が厳しいうえに石油価格高騰で収益が悪化。エコカーの登場もあって、昔よりガソリンが売れにくくなってきた。

「とはいえ新事業はリスクも大きいのでは」。章司が尋ねると「既存の設備や人員を使うので、初期投資や固定費の負担が小さくて済みます」と小林さん。給油所には車両の保守点検設備や駐車スペースなどが備わり、受付業務も手が空いた従業員で十分対応できる。さらに給油所経営特有の事情もあるという。

そこで給油所の業界団体、全国石油協会(東京都千代田区)の渡部勝典さん(58)にも話を聴きに行った。「来年1月末に国の規制が強化され、地下に埋めてある古い石油タンクは補修などの対策が必要になるのです」。タンクが腐食して石油が漏れ出す事故が頻発し、アスファルトなどによる補修や漏れを感知するセンサー設置などの対策が必要という。補修工事には数百万円の費用がかかるようで、厳しい給油所経営にとっては新たな収益源の確保が課題になっている。

資源エネルギー庁によると今年3月末時点の給油所数は3万8千カ所弱。ピーク時の1995年より4割減った。レンタカー利用者が給油すればガソリン販売を増やせるので、一石二鳥の経営というわけだ。

「余剰中古車の活用と給油所の経営難。課題克服の新たなビジネス」。章司がカフェで格安レンタカー店が増えている事情をまとめていると、石油流通などに詳しい東洋大学教授の小嶌正稔さん(54)が声をかけてきた。「給油所のように消費者の暮らしに身近な基盤があると、他のビジネスにも生かしやすいのです」

高齢化が進み、自宅から離れた場所で買い物をしたり、サービスを利用したりしにくくなることも追い風になっているという。「実は家庭向けに伸びているウオーターサーバーの商売も、意外な販路で伸びていますよ」と小嶌さん。

章司は宅配水大手のアクアクララの事業を手掛けるレモンガス(神奈川県平塚市)に聴いた。「プロパンガス宅配のノウハウや販路を生かしているのです」(広報)。実は同社以外にも多くのガス会社が宅配水ビジネスに参入していることがわかった。ミネラルウオーターもプロパンガスも「重い製品を家庭に届ける」点では同じ。プロパンガス市場が縮小傾向で新たな「収益の柱」の育成が欠かせなくなっているという。

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