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極端な低身長 10歳ごろまでに把握しホルモン治療を

2012/12/15 日本経済新聞 夕刊

これ以外の時期は成長ホルモン以外の要因が大きい。生後から4歳程度までの乳幼児期では栄養が成長に大事。思春期には性ホルモンが働く。性ホルモンは体を大きくする半面、成長を止める作用もある。思春期に男子は平均で25センチメートル、女子は18センチメートル程度の伸びしか見込めないという。

このため低身長の改善は、「前思春期の間にどれだけ身長を平均値に近付けるかがポイントになる」と田中院長は指摘する。思春期が通常よりも早く始まって前思春期が短くなるケースなどは、思春期の進行を止めるような対応を検討する。自宅で注射でき、安全性の高い成長ホルモン療法だが、体質によっては発疹や頭痛、吐き気などを催すこともある。

ホルモンを補っても背が大きく伸びるとは限らない。これまでの治療データによると、2年間投与を続けて本来よりも身長の伸びが3センチメートルくらい増えるのが一般的な値だ。国内の低身長症専門の開業医の実績では、成人時に男性なら平均163.9センチメートル、女性なら150.9センチメートルまで届くようになった。平均身長との差は7~8センチ程度だ。「治療によって背が伸びて明るく自信を持つようになる子は多い」(堀川医長)という。

公的な補助も

ホルモン療法の治療費は比較的高いが、公的な補助制度もある。医師らに相談し、当てはまるかどうか確認したうえで、必要な手続きをする。ただ未成年でも2SD以内の差に当たる男子なら156.4センチメートル、女子なら145.4センチメートルを超えると助成を受けられなくなる。自由診療でも投与を続けられるが、負担が重くなるので注意したい。

国立成育医療研究センターを受診する子供の親には、「ほかに取りえもないのに背まで小さくて」など辛辣な言葉を口にしてしまう人もいるという。「私たちも小柄だけど元気に過ごしてきた、とおおらかな態度だと子供の表情も明るい」(堀川医長)

世の中には背を伸ばすとうたうサプリメントや装置なども数多いが、科学的根拠がはっきりしない場合が大半だ。親は子供の成長を見守り、異変に早く気付くよう心がけたい。もし異変があっても冷静に対応することが大切だ。「あとはその子の個性として、おおらかにとらえてあげて」と専門家は口をそろえる。

(鴻知佳子)

[日本経済新聞夕刊2012年12月14日付]

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