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インフルエンザ脳症に注意 乳幼児、けいれん続けば受診を

2012/12/1 日本経済新聞 夕刊

早い治療、効果的

インフルエンザ脳症は早く治療すれば、高い効果が得られやすい。2002~04年の約300の治療例を森島教授らが分析したところ、脳症が発症した当日に治療した患者では死亡や重度の後遺症が起きた例はみられなかった。

ただ、発症2日目の治療では、約半数に死亡または後遺症が出た。3日目で治療を始めた患者では、これが約80%に上がったという。

治療では免疫を抑える薬などを投与する。脳細胞の破壊を抑える低温療法などを実施する例もある。脳症は脳にウイルスが侵入するのではなく、病原体に対抗するため体に備わっている免疫システムが過剰に働いた結果、起こると考えられているからだ。免疫に関係する物質が脳に達し、脳細胞の死滅をもらたすというのが多くの専門家の見方だ。

インフルエンザ感染も徐々に増えている。国立感染症研究所の集計によると、沖縄県や佐賀県などで集団発生が起きている。例年通りなら1~3月にかけて全国的に流行する可能性が高い。

感染研の安井良則主任研究官は「去年より発生ペースは遅いが、急増することも珍しくない」と注意を促す。現時点ではA香港型が最も多いが、違うタイプが今後増える可能性もあるという。

このため、「子供は流行前にワクチンを接種しておいた方がよい」と森島教授は話す。ウイルス感染を確実に防ぐのは難しいが、脳症など重症例が起こるのを抑えると期待されている。

一方、大人の場合は体力の衰えた高齢者のほか、糖尿病や肝臓の病気などを患っていると、肺炎を起こしたりして重症化することがある。国内外のデータからワクチンの有用性を検証している大阪市立大学の広田良夫教授は「高齢者などはワクチンを接種した方がよいだろう」と指摘している。

インフルエンザにかからないようにするため、日ごろから手洗いを励行し、規則正しい生活を送るよう心がけたい。かかってしまったら、マスクをつけ、せきやくしゃみでウイルスが広がるのを防ぐようにしよう。

(新井重徳、吉野真由美)

[日本経済新聞夕刊2012年11月30日付]

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