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インフルエンザ脳症に注意 乳幼児、けいれん続けば受診を

2012/12/1 日本経済新聞 夕刊

インフルエンザの季節がやってきた。通常は発症しても1週間程度で回復するが、子供はまれに脳症を起こし、死に至ったり後遺症が出たりするケースがある。けいれんなどを起こした場合は、脳症の恐れがあるので、なるべく早く医療機関を受診することが大切だ。
インフルエンザ脳症の脳は中央の2つの黒い部分が壊死(森島教授提供)

インフルエンザ脳症の典型はこんなケースだ。岡山県内に住む1歳半の男児Aちゃんは兄弟を通じてインフルエンザウイルスに感染した。熱が40度近くまで上がったため、近くの病院を受診し、抗インフルエンザ薬を処方された。自宅に戻ったが、その夜にぼーっとしたり、けいれん症状が起きたりした。

年100~500人発症

驚いた家族が急いで救急病院に連れて行くと、インフルエンザ脳症の疑いがあるとの診断で、すぐに岡山大学病院に移送された。医師はコンピューター断層撮影装置(CT)と脳波の検査などで脳症だと確定診断し、ステロイド薬の投与や脳を低温に保つ治療を実施した。

Aちゃんは10日後に退院でき、幸いにも後遺症はなかったという。同大の森島恒雄教授は、「インフルエンザにかかった子供は脳症になる危険がある。様子が変だと思ったらすぐに受診すべきだ」と訴える。

脳症を発症するのはインフルエンザの患者1万人あたり数人で、毎年100~500人程度がかかる。1~2歳までの乳幼児を中心に、就学前の子供が重症化しやすい。脳症になった場合の致死率は、以前は約30%と高かったが、「ここ数年は7%前後で推移している」(森島教授)。それでも患者の25%程度に、知的障害や高次脳機能障害、てんかん、体のまひなどの後遺症が出るという。

脳症を予防する方法は今のところないため、子供の異変を見つけたら、すぐ対応することが欠かせない。脳症の兆しとなる症状を知っておくことが素早い対応の第一歩となる。

主な前兆はけいれん、呼びかけに応じない意識障害、意味不明なことを言ったりする異常な言動などだ。中には自分の手を食べ物だと思ってかじったりする例もあるという。こうした症状は、発熱などの通常のインフルエンザの症状が出てから12~24時間後に出るケースが多い。しばらく続くようなら、なるべく早く医療機関にかかる必要がある。

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