朝がつらい 思春期の低血圧、自律神経が原因かも「起立性調節障害」 うつと誤診の例も

子供が朝、なかなか起きないことに不満を持つ親は少なくない。「怠けているだけ」とつい考えがちだが、自律神経が正常に働かず、体や脳の血流が低下する「起立性調節障害」(OD)の疑いがあるので注意が必要だ。症状が似たうつ病と間違って診断されると、処方された薬が逆効果になるおそれもある。
血圧や心拍数を測り、起立性調節障害を診断する (東京都品川区の「もりしたクリニック」)

神戸市を中心に活動する団体「ピアネットAlice」(塩島玲子代表)はODに対する社会の理解を深めるとともに、患者や家族を支援する活動を続けている。学校に遅刻したり不登校になったりする児童・生徒やその親が定期的に集まり、悩みを分かち合う。

不登校の5%

同市に住む高校1年の女子生徒(16)は今年6月から起床時の目まいや頭痛がひどくなり、学校を休む日が続いている。「高校の受験勉強は朝型だったのに、ある朝から急に学校に行けなくなった」。授業の進む速さに追いつけず「学校のことを考えるとつらい」といい、通信制への転校も考えている。

ODの患者数は軽症も含めると、推計100万人とされ、小学校高学年から高校くらいまでの子供に多い。同団体は全国で12万人近い不登校の小中学生の5%程度に症状がみられる、としている。公益財団法人日本学校保健会が2010年度に実施した「児童生徒の健康状態サーベイランス」によると、高校生は男子の2割強、女子の3割弱にODの疑いがある。

原因は自律神経の働きの乱れ。活動時に働く「交感神経」と睡眠や休息時に働く「副交感神経」のバランスが崩れることにより、起立時に血管が収縮せず、脳や全身に血流が行き渡らなくなって血圧が下がる。立ちくらみや目まいを起こしやすい▽立っていると気持ちが悪くなる▽朝起きられず、午前中は調子が悪い――などが代表的な症状で、過呼吸や食欲不振になることもある。

もりしたクリニック(東京・品川)の森下克也院長によると、症状は一般的に20代になると落ち着き、軽い場合には放置しておいても自然に治癒する。一方で、症状が重くて学校に行けないような場合、「挫折感を感じ、引きこもりなどにつながる懸念がある」(森下院長)ため、早めに治療をする必要がある。

一部の症状はうつ病と類似しているが、ODは1日の中で体の好不調の波が大きいという特徴がある。

日本小児心身医学会で治療や診断のガイドラインを作成した田中英高・大阪医科大准教授は「(うつ病と誤って診断され)抗うつ剤を飲み続けた結果、症状が悪くなったケースもある。思春期の子供はまずODの可能性を疑ってほしい」と呼びかける。

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