2012/11/7

イチからわかる

からすけ 研究者の人も大変(たいへん)だね。海外で今までに地震を予知できたことはあるの?

イチ子 1975年の中国の地震では予知に成功(せいこう)したとの報告があるわ。地震の前に、震源付近(ふきん)でヘビがはいだし、イヌがほえ、ウシやウマが暴(あば)れるなど動物の異常行動(いじょうこうどう)が起きたんだって。前もって国民を避難(ひなん)させて、被害(ひがい)を抑(おさ)えられたそうよ。

からすけ 日本でも地震の前にはナマズが暴れるというけど、信用(しんよう)できるの?

イチ子 うーん。中国も翌年(よくねん)に起きた大地震は予知できなくて、20万人以上の人が亡(な)くなったの。その後も大きな地震があったけど、成功していないのよ。

からすけ もっと科学が進歩したら予知できるのかな。

イチ子 予知の研究に取り組み続(つづ)けている人もいるから、可能性はあるかもね。今は東海、南海(和歌山県沖や高知県沖)、東南海(三重県沖)などで「30年以内に何%の確率(かくりつ)で起きる」といった長期予測(ちょうきよそく)を出して危険性を訴(うった)えるのが精(せい)いっぱいなの。だから、地震を予知して被害を防(ふせ)ぐ「防災(ぼうさい)」より、地震が起きることを前提(ぜんてい)に、避難方法(ひなんほうほう)など日ごろから備(そな)えを怠(おこた)らず、被害を少なくする「減災(げんさい)」を心がけることが大切になってくるのよ。

地震学の誕生は19世紀

麻布高等学校の鳥越泰彦先生の話
 科学の諸分野(しょぶんや)はヨーロッパで生まれ、明治以降(いこう)、日本に移入(いにゅう)されてきたものが多くあります。ただ、地震はヨーロッパではほとんど起きなかったため、地震現象(げんしょう)がヨーロッパにも詳(くわ)しく知られた19世紀後半になって、地震学はようやく誕生します。その時、日本にはすでに地震学会が存在(そんざい)していました。
 地震学では、まず正確(せいかく)な地震計を製作(せいさく)することに力が注がれ、この点ではヨーロッパ諸国が先行しました。一方、日本の地震学は、地震計の製作や科学的研究とともに、当時の地震を記録し、地震発生の分布(ぶんぷ)や過去の地震を探(さぐ)るなど地震の地理的、歴史的研究で世界をリードしていました。特(とく)に1904年に刊行(かんこう)された「大日本地震史料」は、世界で最(もっと)も詳(くわ)しい過去の地震記録です。
 こうして地震の計測、過去や同時代の地震記録を整理するとともに、地震発生の仕組みが研究され、日本で地震予知が始まったのは1965年のことです。歴史的にいえば、地震予測は始まったばかりといえるでしょう。
ニュースなテストの答え 1=プレート、2=数千~数万年

[日本経済新聞朝刊ニュースクール2012年11月3日付]

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