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エコノ探偵団

貸金庫が人気、みんな何を預けているの?

2012/11/6 日本経済新聞 プラスワン

 「家の近くの銀行に貸金庫の契約を申し込んだら満杯だからと断られたの」。学生時代の友人の話に探偵、深津明日香が関心を示した。「なぜ今、貸金庫の人気が高まっているのかしら」。早速、調査を始めた。

■席に座ったまま中身が届く全自動型も

 明日香がまず向かったのは、りそな銀行東京ミッドタウン支店(東京都港区)。支店統括部長の前川正樹さん(44)に貸金庫室を案内してもらった。

 明日香が通されたのは支店内の一室で、机といすが置いてあるだけだ。「ここが金庫室?」と不思議がる明日香の前で、担当者が机上の読み取り機にカードを差し込み、指をかざすと数秒後に机上の左側の扉が開いた。中をのぞくと、書類などが入っている。

 「銀行の貸金庫室に個別に設置されている金庫がレールに乗ってここまで自動的に運ばれるのです。操作が簡単なので好評です」と前川さん。平日は午後7時まで利用することができ、1カ月単位でも契約ができるようにするなど利用しやすさを前面に出している。

 「最先端の貸金庫は銀行にとって欠かせないツールの一つです」と語るのは京都銀行常務執行役員の永安洋二郎さん(62)。京都銀行は今から6年前、全自動の貸金庫を銀行界でいち早く導入した。この1、2年で契約が伸び、貸金庫の稼働率が9割以上の店舗が4割弱、8割を超える店舗が過半数に達している。

■震災でリスク対策敏感に

 貸金庫のニーズが増えているのかどうか、金融機関向け金庫メーカー最大手、クマヒラ(東京都中央区)にも聞いてみた。取締役の滝口研さん(51)は「東日本大震災の被災地の貸金庫が無事だったことで、改めて安全性が証明されました。国民の防災意識が高まる中、耐震性が強い最新鋭機の導入を望む金融機関からの引き合いが増えています」と手応えを感じている様子だ。

 バブル崩壊後、金融機関の店舗数は減少傾向にあったが、5年ほど前にリストラが一巡した。店舗の新設や改装に合わせて最新型の貸金庫を導入する動きが広がっている。大手銀行の場合、1店舗当たりの貸金庫数は500~1000程度。都心部など金融機関同士の競争が激しい地域では稼働率が5割程度にとどまる店舗もあるが、8~9割程度の店舗が全般に増えているという。貸金庫の利用時間を延長する金融機関も現れ、人気が高まる原因になっているようだ。

 明日香の説明を聞きながら所長が質問した。「手数料を負担しても預けたいというわけか。何を預けているのかな」

■貴金属や宝飾品が増加

 明日香が困っていると、「貸金庫の中身を銀行員は見てはならないのですが、取引先から『こんなモノを預けたい』と話を聞く場合はあります」と匿名を条件に、ある銀行員が説明してくれた。預金通帳、印鑑、不動産関連の書類などに加え、貴金属や宝飾品などを預ける人が増えている。

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