樹齢800年のスギに感動 島根・隠岐に残る巨樹の森太古の自然、官民で守る

大山隠岐国立公園には迫力のある巨樹の森が点在する。なかでも隠岐諸島の島後にある「自然回帰の森」は常緑樹のスギと落葉樹のカツラが混生する全国有数の巨木林だ。地元の人々が守ってきた天然林は豊かな自然遺産の一つだ。

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自然回帰の森は大きな木が立ち並びながらも光が入り明るい

自然回帰の森は島後の主峰大満寺山(標高607メートル)が鎮座する東部の山中にあり、広さは約15ヘクタール。樹齢200年を超えるスギだけで800本以上あり、樹齢が400年に達し幹回りが6メートル、高さ30メートル超と、鹿児島の屋久杉に匹敵する巨樹もある。駐車場からきれいな遊歩道が整備され、10分も歩けば巨樹に出会える。ゆっくり周遊して30分だ。

スギの人工林は密植が多く、間伐されずに放置されている場合、樹冠の上部が空を覆い昼でも暗く下草がほとんど生えない。だが、ここはスギの間にカツラなど広葉樹が多く、広く薄い葉が太陽の光を通し明るい。シダ類など下草も十分に育ち、虫や鳥が多く生息する。

これまで世界遺産の白神山地や屋久島など日本有数の森を見てきたが、太いスギとカツラが混生する森を見るのは初めてだ。隠岐観光協会前専務理事の武田匡さんは森のある旧布施村(現隠岐の島町)出身。「村の財政が苦しいときも切ろうとの声は上がらなかった。大切にしたい森」としみじみ語った。

樹齢800年、乳房杉の根はものすごい迫力

島を回るうち、驚きは感動に変わった。森の近くにある樹齢800年の「乳房杉」は乳房状の根が垂れ下がる形だ。スギは太平洋側の表杉と日本海側の裏杉、九州の屋久杉の3種類あり、裏杉は雪の重みで枝が折れないよう横に伸び途中から上を向く性質がある。枝が太く重いと地面につき、そこから根を生やし新しい株になる場合がある。

乳房杉も枝が垂れ下がったものと思い、武田さんに聞いた。「これは根。土石流で土が流されてしまったのです」。根がある場所は地上5~6メートル。地球をわしづかみにしたような巨樹の根の強じんさに感嘆した。

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