LTE、テザリング…飛びつく前に知りたい基礎知識
LTE、現状では制約も
最新の通信方式については、LTE(エルティーイー)という用語をよく聞く。スマホで広く利用されてきた第3世代の移動通信システム(略称は3G)の次の世代にあたり、一般的には第4世代(4G)とも呼ばれる。略語の元の言葉は「長期的な進化(ロング・ターム・エボリューション)」という。
LTEのサービスは2010年12月にNTTドコモが始めた「Xi(クロッシィ)」に続き、KDDI(au)やソフトバンクモバイルにも「4G LTE」がある。米アップルの最新スマホ「iPhone(アイフォーン)5」など、各社のスマホの最新機種はLTEに対応している。
LTEは情報のやり取りが速い。スマホの閲覧ソフト(ブラウザー)でホームページを見ると、すっと表示する。実にわかりやすいメリットだが、現状では制約もある。
利用できる機種は最新のスマホに限定されている。未対応のスマホを利用している人は機種交換が必要だ。買い替えてまでLTEを使うメリットがあるか、判断は難しい。
通信が安定しないこと多い
LTEは利用できる地域(エリア)が限定され、サービス会社によってエリアも異なる。都心部であれば各社とも利用エリアはかなり広い。それでもよく利用するエリアでLTEがつながるかどうか、確認はしたほうがよい。
困ったことに現状では、カバーされているはずのエリアでもLTEの通信が安定しないことが多い。LTEが不安定だと従来の3Gの通信方式に切り替わったりする。
LTEで高速通信が可能になると、以前より多くのデータが受信できるようになる。ただたいていの場合、1カ月単位で通信量に制限がある。現状は月決めで7ギガバイトが上限の目安になることが多い。それ以上は別料金になったり、通信が遅くなったりする。
どのくらいで上限に達するだろうか。従来通りにスマホを使うなら、上限を超えることはあまりない。上限が問題になるのは「テザリング」という新しい使い方だ。
スマホが無線LANの拠点に
テザリングとはスマホ経由で、パソコンなどのインターネット装置を通信できるようにすることだ。
従来でも無線LANアダプター付きのノートパソコンなら、無線LANが利用可能なカフェなどでインターネットが利用できた。逆に無線LANが利用できない場所だと使えない。テザリング機能を使うと、スマホが身近な無線LANの拠点に変わり、ノートパソコンやゲーム機、電子書籍リーダーなどもインターネットに接続できる。
テザリングではノートパソコンはスマホと接続し、スマホを経由してインターネットが利用できる。スマホとノートパソコン間の接続や通信の方法は機種によって異なる。ケーブルを使うこともある。テザリングという言葉の元の意味は「家畜をひもでつなぐ」ということだ。
割り切った言い方をすると、LTEはテザリングを意識したサービスだ。だからテザリングをしないのであれば、それほどLTEが重要だとはいえない。「メールを中心に使っている人なら、不要」と指摘する専門家も多い。
現状ではテザリングのデメリットもある。スマホの電池を大量に消費することだ。数時間テザリングをする人は、予備の電池を用意しておかないといけない。
最新の通信技術は魅力的だが、それを生かす使い方をしないのであれば、あわてて飛びつかなくても問題はない。自分の使用状況を考えて、賢くデジタル機器を使いたい。
(テクニカルライター 佐藤 信正)
[日経プラスワン2012年10月20日付]
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