2012/10/18

暮らしの知恵

実際に靴を買うときにはどんな点を注意すべきだろう。

靴専門店、銀座スコッチグレイン(東京都中央区)の平形博厚店長によれば「同じサイズ表記でも、メーカーやデザイン、木型によって革靴の大きさは異なる」。足にフィットした靴を買うなら、実際に履いてみることは欠かせない。その場合はつま先からかかとまでの「足長」と、親指と小指の横にある突起まわりを計った「甲まわり」に合わせて試着してみる。

「靴の幅は余裕を持たさず、ぴったりフィットしたものを選ぶ」(大沢さん)。革靴は履いているうちに足に合わせて革が変形するからだ。平形さんも「迷ったら少し窮屈なものを」と助言する。

ただ履き心地が悪いのに我慢するのは禁物。「8時間履いていられるかと考え、無理だと思ったら買わないほうがいい」(平形さん)。迷ったら1サイズ上も試し、どちらを長く履いていたいか比較する。「小さいと当たるが、大きいとゆるい」といった場合は、木型の異なる靴を履くことで解決する場合もある。

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歩きやすさは革靴の形にも関係する。例えばひもで結ぶタイプとローファーでは、前者のほうが歩きやすい。

ローファーは履き脱ぎは簡単だが、中で足がしっかりと固定されないため、かかとに靴擦れなどが起こる危険がある。「ひもの靴なら足がむくんだ場合も、微妙な調整ができる」(上田さん)。平形さんも「ビジネスシューズの基本は、歩きやすいひもで結ぶ靴」という。「ローファーは靴を脱ぐ機会が多い日のための靴と考えた方がいい」

難しいのはデザイン性を重視する女性の場合だ。大沢さんの病院を訪れる女性患者には「仕事場によって、甲が覆われていないパンプスしか選べない人も多い」。その場合は使い分けが重要になる。

「通勤は足に負担をかけない靴にする。勤務時でも疲れたら負担の少ない靴に履き替える工夫を」とアドバイスする。ヒールの高さは「6センチを超えると歩くたびに前滑りが起こり前足部に負担がかかる」ため、それより低いものを選んだ方がいいそうだ。

(編集委員 大谷真幸)

[日経プラスワン2012年10月13日付]

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