早期母子接触に名称変更の機運
日本周産期・新生児医学会は今年8月、正期産の赤ちゃんに対するカンガルーケアの呼び方を「早期母子接触」に変えるとの案をまとめた。その語感から「安全」とのイメージが独り歩きしていることが理由。実施する際の留意点も挙げており、関係団体・学会の同意を得て全国のお産施設に提案する方針だ。
同学会によると、早産などでNICUに入った赤ちゃんと正期産の赤ちゃんとでは出生後のケアの仕方が異なる。学会案は前者を従来通りカンガルーケア、後者を早期母子接触と呼んで区別する。
早期母子接触の留意点は、▽十分に事前説明する▽実施の意思を母親に確認する▽担当者が付き添い呼吸状態などをチェックする――など。母子が触れ合う体勢や中止基準なども示している。
施設側はこれらの点に加え、それぞれの事情を踏まえてケアを実施する必要がある。葛飾赤十字産院(東京・葛飾)は2000年ごろ、室内を25~27度に設定、赤ちゃんの鼻や口がふさがれていないことを確認するなど、詳細な手順を示したマニュアルを独自に作成。鈴木俊治副院長は「現場でしっかり共有できるよう、医師や看護師、助産師らが一緒になって作成するのが望ましい」と話している。
(今井孝芳、細川幸太郎)
[日本経済新聞夕刊2012年10月11日付]