重度の肥満、胃を小さくする手術も選択肢糖尿病など改善効果

重度の肥満をどうにかしたい。運動や食事、薬などの内科的な治療では減量が難しい場合、胃を小さくする手術も選択肢の一つだ。欧米では一般的に実施されており、合併症の糖尿病などを改善する効果もあることが分かってきた。手術前後の食事指導や心理的な支援も必要となるので、医師と十分に相談したうえで、手術を実施するか判断しよう。

「普通に服を選べるし、出歩く機会が増えた」。中部地方に住む会社経営の大賀亮介さん(仮名、35)はうれしそうに話す。大賀さんは今年1月、滋賀医科大学病院で胃を小さくする減量手術を受け、「身軽」になった。

約50キロの減量

手術前の体重は150キログラムを超えていた。体重を身長の2乗で割って出すBMI(体格指数)は45を上回り、高度肥満に分類された。20代から1日5~6回食事をし続け、30代で糖尿病と診断された。

入院し減量を試みたが、退院するとすぐに元の体重に戻ってしまうことの繰り返しだった。「糖尿病も悪化し、自分でも怖くなった」と振り返る。現在の体重は98キログラム。食事指導を受けながら体重を維持している。糖尿病も改善し、血糖値は正常範囲に収まっている。

大賀さんが受けたのは胃の外側を切り取ってバナナぐらいの細長い筒にする「スリーブ状胃切除術」だ。胃の容量を小さくして食事摂取量を減らすための手術で、腹部に小さな穴をあけて腹腔(くう)鏡と呼ぶ内視鏡や鉗子(かんし)、メスなどを使って実施する。手術は3時間程度で済む。腹部を大きく切らないので、傷口も小さく患者の負担が少ない。比較的新しい手法だが、安全性も高いという。

滋賀医大の山本寛講師は「体重は半年から1年かけて30~40%減る」と効果を話す。同大の場合、自己負担額は60万円程度。約1カ月の入院が必要だ。

減量手術は飽食の時代を迎え、肥満者が増加した日本では1980年代に始まった。2010年に厚生労働省の先進医療に承認され、実施する大学病院なども増えている。

一方、肥満者が多い海外は約半世紀の歴史がある。北米を中心に年間40万件以上実施されている。胃を小さくした上で小腸を短くしてつなぐ手術などが主流だ。日本で現在、手術が受けられるのはBMIが原則35以上の人が対象だ。国民の約0.5%に相当し、身長170センチメートルなら体重100キログラム以上となる。11年は自由診療の分も含め約120例が実施されたという。

手術普及の背景には減量効果が長く続くことと、肥満の合併症である生活習慣病の改善効果が明確になってきたことがある。

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