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福井・三方五湖 「縄文」「自然」湖底に眠る 世界最古、鳥浜遺跡の漆

2012/10/6 日本経済新聞 夕刊

福井県南西部、若狭町の北端に位置し、国の名勝に指定されている三方五湖。古くは万葉集にも詠まれた県内屈指の景勝地だが、古代史や自然科学の専門家の間では歴史を塗り替えた「2つのタイムカプセル」があることで知られる。「縄文のタイムカプセル」と呼ばれる鳥浜貝塚遺跡と、「自然環境のタイムカプセル」として世界で注目される水月湖の湖底堆積物だ。

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縄文人が丸木舟で行き来した三方湖。対岸の右奥が鳥浜貝塚遺跡

鳥浜貝塚は縄文時代の始まりである草創期から前期にかけての古い集落遺跡。50年前、五湖の1つで最も南にある三方湖に注ぐ河川の改修工事のさなかに、地下3~7メートルの川底の土の中から偶然発見された。土器や石器に加え、通常は腐って跡形もなくなる木製品や漆製品、縄、ひもなどの植物由来の遺物が腐らずに往時の姿のまま大量に出土し、関係者を驚かせた。

「まさに奇跡的。暗い低温の水底で、空気や日光に触れることなく真空パック状態で水漬けにされたため、様々な遺物が極めて良好な状態で保存された」。若狭三方縄文博物館で学芸員を務める小島秀彰さんは、鳥浜遺跡が「タイムカプセル」と呼ばれる理由をこう説明する。

さらに鳥浜遺跡の多様で豊かな出土品は、縄文人が工芸や装飾、栽培などで高度な技術と文化を有していたことを立証し、それ以前の旧石器時代の原始人と同じように思われていた縄文人のイメージを一新した。

特に優れていたのが漆製品。漆は栽培から樹液の採取、管理、塗布まで高度な技術と工程管理を要するが、縄文人はその難物を使いこなしていた。縄文漆器の最高傑作とされる「赤色漆塗り櫛(くし)」をはじめ、鳥浜の漆製品は現代の漆工芸の技術と変わらないレベルという。

昨年には以前に出土した漆の枝が「放射性炭素(C14)年代測定法」という理化学の技術を使って分析した結果、世界最古の約1万2600年前のものであることが判明。漆は従来、大陸から持ち込まれたと考えられていたが、今回の“発見”で日本に自生していた可能性が生じ、日本の独自文化として鳥浜の漆に新たな注目が集まっている。

鳥浜を含め三方湖周辺の縄文遺跡からは11隻の丸木舟が出土している。「縄文人は丸木舟に乗って湖を自在に行き来し、漁をしたり、ヒシの実を採ったりしました。湖の周りを巡れば、縄文人が眺めたのと同じ光景を見れますよ」(小島さん)。

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