体にも「Tゾーン」あり 皮脂、汗をきれいに落とす入浴法

手足の先端から体の中心に向かって洗う方法もある。心臓から遠い部分は血流が滞りやすい。せっけんなどをよく泡立て、その泡をクッションにして大きならせん模様を描くように洗うと、血液やリンパ液を流すことができ、マッサージ効果が期待できる。泡を流す際も心臓から遠い体の先端から始めると、凝りなどを和らげることができる。

ただ「肌をゴシゴシと強くこすって洗うのはあまりよくない」と東京慈恵会医科大学の中川秀己教授は注意を促す。保湿に必要な皮脂などが必要以上に失われると、乾燥肌の原因となる恐れがあるからだ。

固くて刺激の強い素材より、肌に優しい天然の柔らかい素材のスポンジやタオルで洗うのが好ましい。熱めのお湯は肌の潤いに欠かせない成分、セラミドを流出させるので、洗い流す際は40度以下のぬるめのお湯ですすぐとよいようだ。

体をふく際は柔らかいタオルを使い、それを体に押し当てるようにして水分をふき取る。肌を強くこすってはいけない。保湿のため、風呂から出たらすぐにクリームやローションを塗ることも大切。洗浄料を使って体を洗うのは1日1回で十分。それ以上だと、必要以上に皮脂が失われて、肌が乾燥しやすくなる。

入浴効果は3つ

花王パーソナルヘルスケア研究所の工藤道誠室長によると、入浴の効果は温熱、水圧、浮力の3つだとされる。お湯で体が温まり血行が良くなると、血液中の酸素が筋肉中の疲労物質である乳酸をグリコーゲンに変える力を高める。これが温熱の効果。疲れが取れるのはこのためだ。また入浴時は体全体に1トン強の水圧がかかる。この作用で血液の循環が促進され、呼吸機能も活性化するという。

お湯の中では体重が約9分の1になる。関節などに負荷をかけずに体を動かせるので腰痛や筋肉痛があっても運動しやすい。これが浮力の効果。病後のリハビリなどに有効とされる。こうした基礎知識を頭の片隅に入れておくだけでも、入浴をより効果的に楽しむのに役に立つはずだ。

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湯温・時間は目的別に

入るなら熱いお湯がいいか、ぬるいお湯がいいか。目的に応じて入浴時の効果的なお湯の温度も違ってくる。心身ともにリラックスしたい場合は、ややぬるめのお湯につかる微温浴が効果的。セ氏36~40度くらいのお湯にゆっくりつかると、脳内の副交感神経が適度な刺激を受け、体の緊張がうまくほぐれるという。入浴時間は10~20分が目安だ。

逆に仕事など活動モードに切り替えたい場合は、セ氏41度以上の熱めのお湯につかる高温浴が効果的だ。交感神経が適度に刺激を受け、心臓の鼓動が高まり、血行が良くなることで体がエネルギッシュな状態になる。時間にすると5分以内の入浴が適当。長湯は禁物だそうだ。筋肉の疲労回復には、一度湯船から出て、体に水をかけてから再び湯船に入る方法も効果があるという。

(編集委員 小林明)

[日経プラスワン2012年9月29日付]

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