正しい動作意識を

全体を通して体操するのが理想的だが、ラジオ体操を参考に鍛えたい部分だけ運動するのも効果がある。椅子に座ったまま「腕を上げて上半身を左右に曲げる」「肘を軽く曲げたまま、外回しと内回しを繰り返す」などの運動は体力のない高齢者に向くという。

ただ、漫然とやっても効果は薄い。スポーツ科学センターの中村医師によると(1)自己流ではなく正しい動作でやる(2)テキパキと動く(3)使う筋肉を意識する――に気をつけると効果が高まるという。これらを守ると「トレーニング効果がかなり違ってくる」。

全国ラジオ体操連盟によると、不慣れな人は腕だけが動いて下半身がおろそかになることが多いという。最近は一連の運動を説明するDVD付きの解説本が販売されており、参考にするとよい。ダラダラと続けると体に余計な負荷がかかり、疲れやすくなる。

普段ほとんど運動をしない人や、けがや病気を抱えた人は注意が必要だ。武庫川女子大学の伊達万里子教授は「運動に慣れていないと、力んで無理な動きをすることが多い」と話す。腰痛を抱えた人が力んで背中を反らしたら、腰の骨を折った例もあるという。腰や膝などに痛みがある場合、無理に動かすと危険だ。

夏休みは終わったが、朝夕が涼しくなってきたこの時期に、ラジオ体操を始めてみてはどうだろう。

(草塩拓郎)

ひとくちガイド
《本》
◆ラジオ体操の正しいやり方を知るには
 「実はスゴイ!大人のラジオ体操」(中村格子著、秋山エリカ監修、講談社)
《ホームページ》
◆ラジオ体操の会場やイベントなどを知るには
 NPO法人全国ラジオ体操連盟(http://www.rajio―taiso.jp)

[日本経済新聞朝刊2012年9月16日付]

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