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「医療通訳」外国人も安心 派遣制度やIT活用 専門性高め、対話しやすく

2012/9/7 日本経済新聞 夕刊

日本語を理解できない外国人の患者に医師らの言葉を伝える「医療通訳」の取り組みが広がっている。通訳を独自に養成する病院があるほか、自治体などが地域の医療機関に通訳を派遣する制度も始まっている。日本で暮らす外国人が200万人を超えるなか、医師との意思疎通を助け、安心して医療を受けられる環境を整えるのが狙いだ。
ブラジル人患者の診察に同席し、内容を通訳する南谷かおり医師(左から2人目)=大阪府泉佐野市のりんくう総合医療センター

「娘さんの下痢はウイルス性の腸炎によるものですね。1~2週間で治りますよ」。8月下旬、りんくう総合医療センター(大阪府泉佐野市)。生後7カ月の次女、アンナちゃんを抱くブラジル人のマリザ・キユナさん(27)に男性小児科医が語りかけると、傍らに座る同センターの南谷かおり医師(47)がポルトガル語で通訳した。

支払いまでお供

「原因がやっと分かった」。キユナさんはほっとした様子。仕事の都合で約2年前に来日し、簡単な日本語しか分からない。数日前、下痢をしたアンナちゃんを同府岸和田市の自宅近くの病院に連れていったが、医師が話すのは日本語と英語のみ。「雰囲気で深刻ではないと分かった」が、原因が分からず下痢も続いたため、不安になって同センターを訪れた。

同センターは英語(月~木曜日)、中国語(火曜日)、スペイン語(火・木曜日)、ポルトガル語(同)を無料で通訳。事前予約をするか当日に申し出れば、待機している通訳が受け付けから支払いまで付き添う。

通訳を始めたのは2006年。近くの関西国際空港から外国人が搬送される例が増えたのを機に、ブラジルで医師免許をとった南谷医師を中心に、10人未満の体制でスタート。現在は先輩とペアで働く研修生を含め、約60人の通訳が登録している。主婦や会社員、看護師らが空いた時間に活動し、11年度の通訳件数は約730件と、06年度の約8倍に増えた。

南谷医師は「医師の言葉は専門的で曖昧なことが多く、現場での研修が大切」と語る。以前、「肝機能を示す数値が上がった(症状が悪化している)」というのを、「症状が改善している」と研修生が誤って訳し、その場で注意したこともあるという。

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