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全身に激痛 女性に多い「線維筋痛症」 早期診断が重要

2012/9/1 日本経済新聞 夕刊

 全身で耐えられないほどの激しい痛みが続く線維筋痛症。30~40代女性に多いが、原因や発症の仕組みははっきり分かっていない。ただ、痛みの緩和が期待できる薬が保険適用になるなど進歩もみられる。早期の診断と適切な治療で、日常生活を取り戻すまで回復した人もいるという。
どこに痛みがあるかを診察する(東京都千代田区の霞が関アーバンクリニック)

 東京都内に住む50代のA子さんは、交通事故に遭い、右手のしびれや頭痛に悩まされるようになった。そのうち両手に力が入らなくなってかばんも持てなくなった。背中や首にも痛みが生じ、立っているだけでもつらく、数時間起きては横になる生活に。病院を受診し様々な検査をしたがなかなか病名が特定できなかった。複数通ったあげくようやく「線維筋痛症」と診断されたのは、事故から1年以上後だった。

国内患者200万人

 この病気の国内患者数は推定で約200万人。約7割が女性という。ケガや病気など肉体的・精神的なストレスが引き金になり、耐えられないほどの痛みに見舞われるのが一般的だ。

 例えば、A子さんのような交通事故のほか、運動時のケガ、手術、出産などが原因になる。さらに、「職場の環境変化、更年期障害、いじめ、親の介護、夫婦仲の悪化などもきっかけになる」と日本線維筋痛症学会理事長で東京医科大学医学総合研究所の西岡久寿樹所長は指摘する。

 発症時は、痛みが急に全身に広がる場合や肩甲骨の周辺などから全身へと広がる人もいる。爪を切るだけで激痛が走るケースもある。また、痛みのため体がいつも緊張状態になり、交感神経のバランスが崩れる。この影響などで、めまいや便秘、下痢、耳鳴り、ドライアイ、視力障害、不眠、うつ状態など様々な症状が現れるという。

 痛みが続く詳しい仕組みはまだ分かっていないが、専門家は体の痛みを感じ取る脳の部分が過敏になっていると考えている。これに加え、体に備わる痛みの感覚を鎮める作用も弱まっているようだ。体に何かが触れるだけでその刺激を脳が痛みとして感じ取り、抑制作用がないため、いつまでもやまない。さらに次の刺激も痛みとして上乗せされ、どんどん痛みが蓄積するという悪循環に陥る。

 患者にとって大変なのはつらい症状に悩まされているのに、体の異常を見つける決定的な検査方法がないことだ。人によって症状が異なるケースが多いことが診断を余計に難しくしている。多くの診療科を回ったあげく「なんともない」と言われてしまうこともある。診断まで10年かかった例もあるという。

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