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本人も気づかない体の不調 「家庭血圧」で早期発見

2012/8/30 日本経済新聞 プラスワン

また最近発表された睡眠時間と病気に関する複数の調査によると、睡眠時間が短いほど糖尿病、心臓血管障害などによる死亡率が高くなることが分かった。

睡眠医学の専門家である久留米大学医学部神経精神医学講座の内村直尚主任教授は「睡眠不足が続くと起床時に血圧が高くなり、脈が速くなるなど心臓血管系への影響が大きい」と話す。

忙しい会社員は精神的なストレスの影響も大きい。血圧高めの日が続いたら早めに帰宅し、リラックスできる時間を持つのがよい。特に工場の交代勤務や長距離ドライバーなど深夜に仕事をする人は、血圧が下がりにくい傾向がある。こうした人たちの健康管理に血圧測定を応用する研究も始まっている。

女性は男性と比較して一般に血圧が低めだ。低血圧には明確な診断基準はなく、体調に問題がなければそれほど気にする必要はない。しかし低血圧にだるさ、貧血などを伴う場合は、ダイエットのしすぎによる栄養不足なども考えられる。かかりつけ医などで健康状態について診断をうけるほうがよい。

■自分の体を知る

また女性の血圧は更年期を境に一変する。「女性ホルモンの分泌の低下とともに血圧は上がりやすくなる。特に遺伝的に高血圧を発症しやすい家系の女性の場合、急速に高血圧が進むこともある」(河辺教授)という。45歳をすぎたら女性も定期的な血圧チェックが必要だ。

健康なときからの血圧測定習慣。河辺教授は「自分の体の状態を知るよい機会になる。血圧が変化したときの不調を記録することで、さまざまな病気を予防できる可能性が高まる。それが国内4千万人ともいわれる高血圧患者を減らすことにつながってほしい」と話している。

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■医療現場でも活用

家庭血圧は医療現場でも利用が進んでいる。重症の高血圧治療ではできれば週5日以上、少なくとも週2日分のデータを吟味する必要がある。最近では患者が測定時にメモしなくても、家庭での測定値を記録した血圧計を医師に持参するだけで、そのデータをパソコンに取り込める機種が活用されている。

血圧計の高機能化も進んでいる。起床時に血圧が高くなる症状である「早朝高血圧」は病院では発見しにくいが、毎日の朝晩の血圧データを自動的に解析して早朝高血圧の可能性を指摘する機種が増えた。

さらに河辺教授は「夜寝ている間の血圧を自動的に測定したり、脈の乱れを検知して心房細動などの心臓の異常を把握できる機種も登場している」と話す。心房細動はそれ自体が危険な状況をもたらすことは少ないが、心臓内に血栓ができやすくなり、それが原因で心筋梗塞や脳梗塞をもたらすことがある。家庭用血圧計で確認できれば、それに伴う病気や症状を早めに予防し、改善できる。

(ライター 荒川 直樹)

[日経プラスワン2012年8月25日付]

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