「小さな鏡」は厚塗りの原因 30代からの化粧法
プロの目から見て、30代以上の女性がよくやっている間違った化粧法は何か。
「シミなどを隠すために厚塗りをして、かえって老け顔になっている人が多い」。女性ファッション誌などで活躍するヘアメーキャップアーティストの新見千晶さんは、こう指摘する。
解決策としては、まず小さい鏡を見て化粧するのをやめたほうがいい。「鏡が小さいと、気になる肌トラブルばかり目に入って厚塗りしてしまう。メークはバランスが大切。大きめの鏡で顔全体を見ながらメークしましょう」
ファンデーションを均一にベタ塗りするのもいけない。首と顔の境目が目立ってしまう。「視線の集まる顔の中心から外側に向かって放射状に塗りましょう。境目が目立たなくなり、自然な立体感が出ます」
濃いシミやクマを消すために、ファンデーションの前にコンシーラーを使う人もいるだろう。コンシーラーのよれや色浮きを隠そうとしてその上にファンデーションを厚塗りしてしまいがちだ。
新見さんは「ファンデーションを塗った後で、コンシーラーをアイシャドーブラシなどの柄の先の部分に少しつけ、シミの上にぽんとスタンプのように乗せる。それを軽く指でなじませるといい」と教える。これならファンデーションを重ねすぎずに済む。
メイクサロンMAMEW(東京都渋谷区)代表の横山恵子さんは、最もよくある間違いは3つあると指摘する。
1つ目はチークの色と入れ方。「若い頃と同じように、かわいらしいピンク色を頬に丸く入れている人が多い」。30代中盤からは肌がくすみ、たるんでくるので血色が良く見えるオレンジ系を勧める。入れ方は、笑った時に一番高い頬の部分から耳の上の付け根に向けて「こ」の字を描きながら、楕円形に徐々に細く入れる。「見る人の目線が上へ上へと上がるので、たるみが目立たなくなる」という。
2つ目はハイライトを入れる場所。「若い頃は眉尻の下から目尻の下までの小さなCゾーンに入れるのが基本ですが、まぶたが腫れぼったくなり、垂れ始めた人がここに入れると余計に目立つ」
横山さんは顔の骨格と筋肉に沿った「骨筋メイク」を提唱している。年をとると、こめかみの部分がやせてきて、目尻が垂れてシワができ、口の横にほうれい線が現れ、口角の脇に小さなシワができる。「この部分に陰ができると老けて見えるので、ここにハイライトを入れるのが正解。カゲを消して明るく見せよう」と提案する。
3つ目は眉。小鼻と目尻の延長線上が眉尻になるように描くのが基本だが、年をとるとこめかみがやせるので、眉尻が長いと下がってしまい、寂しい顔に見える。短めに変えた方がいい。「30代以上の眉尻の目安は、口角と目尻の延長上。眉尻が短くなり、若々しく見えます」
横山さんのメイクサロンには男性も眉カットに訪れる。男性は年をとると眉毛が太くまばらになり、眉尻が広がってダルマのようになるという。「若い人のように眉を細くするのではなく、まばらな毛をカットするだけでも随分スッキリする。『へ』の字に整えて、りりしい角眉に」
最低限の身だしなみは洗顔だ。「せっけんを使わずに顔を洗っている人が多い。中高年は皮脂の分泌が増えて顔にすごくあかがたまっている。洗顔フォームで洗うだけで本当に『あか抜けます』」
女性も男性も加齢による変化を直視して、自然な美しさを心がけたい。
(ライター 上田 真緒)
[日経プラスワン2012年8月18日付]
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