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網膜の病気、ご用心 中高年、定期的に眼科検診を 発症のリスク、喫煙で上昇 食生活の欧米化も影響か

2012/8/18 日本経済新聞 夕刊

目の網膜の病気は年をとるとともに患者も増える。失明の恐れのある加齢黄斑変性や糖尿病網膜症などが代表例で、生活習慣の欧米化などが影響しているようだ。視野が狭まったり、視力が落ちたりすると生活の質が大幅に下がる。中高年になったら糖尿病を患っていなくても、定期的に眼科検診を受けるようにしたい。

京都市に住む男性Aさん(72)は左目の視力が急に低下したのに驚いて病院を訪れた。視力検査をすると、右は1.0だが左は0.3。以前は左右ともほぼ同じだった。数カ月前から左目の状態がよくなかったが、それほど悪いとは思っていなかった。医師は網膜などを詳しく調べ、加齢黄斑変性と診断。薬による治療が始まった。

半年後に左目の視力が0.7まで回復したため、通院するのをやめると症状が悪化。1年半後に受診すると0.03まで低下していた。回復は難しい状態で、右目も同じ病気の疑いが出ていた。

加齢黄斑変性は目の網膜の中央にある黄斑という場所に異常が起こる。発症は50代以上が多く、国内の患者数は推定で70万人いるとされる。症状は視力の低下のほか、視野の中央が見えにくくなったり、視野がゆがんだりする。同じ目の病気である緑内障などよりも気付きやすく、いつからおかしくなったか患者が自覚している場合も多いという。

この病気は名前のとおり年齢を重ねると起こりやすくなる。喫煙も発症リスクを高める。Aさんは68歳で心筋梗塞になったのをきっかけに禁煙するまでは、毎日1箱吸っていた。最近の研究では、病気に関連する遺伝子も見つかっている。食生活の欧米化などの影響も疑われている。

京都大学の吉村長久教授は「もともと欧米に多い病気だが、最近は国内でも増えてきた」と指摘する。患者の眼底を調べると黄色の斑点「ドルーゼン」が見られる場合が多いという。これがあると発症しやすいという。

投薬で進行遅らす

主なタイプは2つ。日本人の患者は9割が「滲出(しんしゅつ)型」。黄斑に新しい血管が多くでき、網膜上部の細胞が傷ついてはがれる。一方、「萎縮型」は網膜の細胞が萎縮する。

今のところ目の状態を完全に戻す治療法はなく、病気の進行を遅らせるのが基本だ。滲出型で一般的なのは、血管を作るたんぱく質の働きを抑える薬による治療だ。これに、特殊なレーザーを使って新しくできた血管を壊す「光線力学療法」を併用することもある。

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