「今から思えば、強く尻餅をついたことが原因だと思う」。7月下旬、減少症の患者団体が千葉県鎌ケ谷市で開いたセミナー。同県佐倉市の深沢佑美さん(33)の体験談に子供を持つ保護者や教員ら約250人が耳を傾けた。
深沢さんは中学生の頃から倦怠(けんたい)感に悩まされるようになり、高校に入ると症状が悪化した。受診した診療科は脳外科や精神科など10以上。自律神経失調症などと診断され、薬を飲んだが、改善しなかった。1日3時間しか起き上がっていられないこともあった。
発見の遅れに注意
減少症と診断されたのは昨年2月になってからだ。「発症当時は病名が知られておらず、家族も理解してくれなかった。この病気のことを多くの人に知ってほしい」と訴えた。
セミナーで講演した山王病院(東京・港)の高橋浩一・脳神経外科副部長は「周囲から怠けていると誤解されたり、心の病などと誤診されたりするのは酷だ」と指摘。発見の遅れによる重症化に注意を促した。
髄液の採取や腰椎への麻酔の際、髄膜に開いた穴から髄液が漏れ、起立性の頭痛を引き起こす「低髄液圧症」は70年以上前から知られていた。近年になって、髄液圧は正常でも髄液が減るケースがあることが分かり、減少症という呼び方が普及した。
病名がクローズアップされたのは2001年。交通事故による難治性むち打ち症と髄液漏れとの関連が指摘されたことがきっかけだ。これにより減少症と診断される人が増えたが、複数の学会や医師が独自に診断基準をつくったことで、医師の診断にばらつきが生まれ、患者が振り回された。
こうした混乱を受け、厚生労働省は07年、研究班を発足させた。研究班はコンピューター断層撮影装置(CT)や放射性同位元素(RI)による画像判定をベースとした診断基準を作成。関連する8学会の承認を得て昨年10月に公表した。















