不快感なくても危険な場合も 熱中症予防の注意点体感温度に個人差、実際とズレ

体の一部だけを冷やす場合、田中教授の35度の環境での実験によると、首の後ろを冷やすのが最も効果的だ。首の血管を通る血液が冷やされ、体温を下げる効果があるうえ、体感温度も下がる。氷を直接当てると冷やしすぎなので、アイスバッグや、氷をビニール袋に入れタオルなどで包んだものを使うとよい。一方、要注意な部位は背中。刺激が強すぎ、脳が勘違いして実際よりも冷たいと感じ、体温調節がうまくいかないという。

また、涼しい感覚を与えるスプレーは体温をあまり下げないため、ケースに応じてうまく使うとよいそうだ。例えば、暑い屋外から戻ってきたときなどに、本来は暑くないはずの設定28度でも不快に感じる場合などが向いている。

■30度でも油断禁物

「気温が35度ならみんな気をつけるが、30度ぐらいだとけっこう油断しがち」と注意を促すのは日本気象協会の蔵田英之モバイル・Web課長(気象予報士)。同じ温度でも湿度によって体への影響は違ってくる。

同協会はホームページで夏季に、熱中症になる危険度を示す熱中症指数の1週間分の予報を発表している。気温、湿度などから計算する「WBGT」(暑さ指数)だ。これは複数の機関が発表しており、その表示法もいくつかある。同協会の5段階表示で見ると、同じ気温30度でも湿度が低いと指数が5段階の真ん中の「警戒」だが、湿度が高いと一番上の「危険」になることもあるという。

予報は先々に外出などの予定があるときの参考にもなる。その日の危険度に応じて「準備や体調を整えておくきっかけにしてほしい」と蔵田課長は話す。サイトでは体感温度指数なども予報している。

また、市場には熱中症の危険度が分かる温度・湿度計がいろいろと登場している。自分の感覚だけでは分からない正確な把握にはこうした製品を使う手もある。

(編集委員 賀川雅人)

ひとくちガイド
《ホームページ》
◆熱中症予防に詳しい日本生気象学会(http://www.med.shimane-u.ac.jp/assoc-jpnbiomet/index.html)
◆熱中症指数などがわかる日本気象協会の天気総合ポータルサイト「tenki.jp」(http://tenki.jp/)

[日本経済新聞朝刊2012年8月12日付]

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