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イチからわかる

iPS細胞、実用化されると何が変わるの?

2012/8/15 日本経済新聞 朝刊

 からすけ すごい発見だね。でもなんでiだけ小文字なの?

 イチ子 山中教授が、その当時人気だった携帯(けいたい)音楽プレーヤー「iPod」をまねて最初(さいしょ)のiを小文字にしたのよ。

 からすけ iPS細胞が発見されて何が変わるの?

 イチ子 一番大きいのは、心臓や目など体の一部を人間の手で作れるようになることね。今まで心臓や肝臓(かんぞう)など内臓の具合が悪い場合に、その部分を他の人から移植(いしょく)する方法があったの。でも、人からもらった内臓が自分の体になじまず、苦しむ人が多かったの。

 からすけ 自分の体から作ったiPS細胞で内臓を作れば、体になじみやすいんだね。

 イチ子 そう。まだ心臓や肝臓などを丸ごと作り出すことには成功していないけど、目の難しい病気を治すために、目の奥にある膜(まく)をiPS細胞から作る研究が進んでいるそうよ。

■薬の副作用、調べやすく

 からすけ 薬の開発に役立つとも言ってたね。

 イチ子 そう。例えば心臓の病気に効(き)く新しい薬を開発するときは、心臓の病気を持っている人のiPS細胞から心臓の一部を作り出して、薬に効果(こうか)があるのか、副作用(ふくさよう)と呼(よ)ばれる体への悪い影響(えいきょう)がないかなどをしっかりチェックできるようになったの。この方法を使って、体が思うように動かなくなる神経(しんけい)の病気を治す薬の候補(こうほ)を見つけたと最近話題になったわ。

 からすけ ところで、お父さんがES細胞というiPS細胞に似(に)たものがあるよって言ってたけど、何が違うのかな?

 イチ子 いい質問(しつもん)ね。ES細胞も、色々な種類の細胞に変身できる便利(べんり)な細胞なの。iPS細胞より早く発見されて、アメリカやヨーロッパでは日本より研究が進んでいるわ。でもね、ES細胞は、やがて赤ちゃんになる受精卵(じゅせいらん)をお母さんのおなかから取り出して作るため、利用(りよう)して良いかどうか国によって意見が分かれているの。

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