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イチからわかる

iPS細胞、実用化されると何が変わるの?

2012/8/15 日本経済新聞 朝刊

からすけ 「iPS細胞(さいぼう)」って言葉を最近(さいきん)ニュースでよく見かけるね。難(むずか)しい病気を治(なお)すのに役立つと聞いたけど、何がすごいの?
イチ子お姉さん 心臓(しんぞう)など体の様々(さまざま)な部分に変身(へんしん)できる人工的(じんこうてき)に作った細胞なの。病気の内臓の代わりを作ったり、薬の開発にも役立ったりするわ。

■人工的に臓器作る一歩

 からすけ そもそも細胞って、どういうものなの?

 イチ子 私たちの体を作っているとても小さな粒(つぶ)のことよ。目も、耳も、心臓も、体の全部が実は細胞からできているの。1つあたりの大きさは1センチメートルの千分の1くらいだから、特殊(とくしゅ)な顕微鏡(けんびきょう)でないと見られないわ。一人の体には約60兆個(ちょうこ)という、途方(とほう)もない数の細胞が詰(つ)まっているのよ。

 からすけ すごいたくさん! ところで、目と心臓は全然(ぜんぜん)役目が違(ちが)うのに同じ細胞でできているのかな?

 イチ子 いいえ。細胞にも色々な役割(やくわり)があって、目は目を作る細胞、心臓は心臓を作る細胞でできているの。人の体には約200種類(しゅるい)の細胞があるのよ。

 からすけ 細胞の役割は始めから決まっているの?

 イチ子 人の命は、お母さんのおなかの中で1つの細胞から始まるの。そのときは細胞の役目はまだ決まっていないわ。その後、細胞は2つ、4つとどんどん分かれて増(ふ)え、しばらくすると目の細胞、骨(ほね)の細胞といったように役割の決まった細胞になるの。一度、細胞の役割が決まったら、いくら分かれても他の細胞にはなれないのよ。

 からすけ でも、iPS細胞は色々な種類の細胞に変身するって言ったよね。

 イチ子 そうよ。皮膚(ひふ)や血からとった細胞に、細胞の設計図(せっけいず)の役目を果(は)たす遺伝子(いでんし)を入れると、色々な細胞に変身できるiPS細胞になることが発見されたの。京都大学の山中伸弥教授(やまなかしんやきょうじゅ)が2006年にネズミの実験(じっけん)で成功(せいこう)して、07年には人間の体からiPS細胞を作ったと発表したのよ。

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