「仕事に手触り感」 NPOが若者に人気の理由

「ご近所の息子さんがNPO(非営利組織)で働いているそうよ。NPOは若者に人気らしいけど、なぜかしら」。事務所を訪れた主婦の話に探偵、深津明日香が興味を示した。「私にもNPO勤務の友人がいるわ」。直ちに街へ飛び出した。

最初に訪ねたのは、明治大学などでNPO論の講座を持ち、普及に努めてきた服部篤子さん(46)。「そもそもNPOとは何か」から説明してもらった。「株式会社とは違って営利を主な目的とせず、社会貢献を目指す組織です。保健や医療の増進、環境の保全、まちづくりの推進など活動は様々。就職希望の学生からの相談も増えました」

会社にできない仕事 魅力

その中で「法人格」を持つ組織が特定非営利活動法人(NPO法人)。1998年にNPO法が制定され、行政の認証を得て法人となり、外部との契約なども可能になった。法律で20の活動分野が認められ、医療、介護、教育などに関連する事業を手掛ける団体が多い。単にNPOと表現するときもNPO法人を指す場合が多く、今年3月末で4万5000を超えた。

次に京都へ。大学院を卒業後、企業には就職せず、2000年にNPO法人(現・ユースビジョン=京都市)を立ち上げた赤沢清孝さん(38)は「阪神大震災に遭遇し、ボランティア活動の意義を感じました。学生有志で介護施設やお祭りの手伝いなどをするうち、この仕事を続けたいと思ったのです」と語った。

「私の友人も東日本大震災の被災地を支援しているわ。2度の大震災が、若者がNPOに目を向けるきっかけにもなったのね。でもどうやって活動資金を得ているのかしら」。明日香は、昨年秋にNPO法人の実態調査をした日本政策金融公庫の門をたたいた。

「実はNPO法人の7割弱は黒字なのです」。同公庫の総合研究所主任研究員の藤井辰紀さん(36)は意外な事実を教えてくれた。約3500の調査対象に収入の内訳を聞くと、介護サービス料などの「事業性収入」が平均で約9割を占め、寄付金や会費収入は計1割弱。年間の平均収入は約3300万円で、1億円を超えるNPOも約7%。

行政からの受託 収入確保

「ほかに収入源を持つ人のボランティアに頼る場合も多いですが、有給職員を雇っても十分に資金が回るケースが増えています」と藤井さん。ユースビジョンが2009年度に実施した全国調査では、NPOの有給の正規職員の6割超が20~30代。ただ、有給職員の数は10人未満が65%を占め、小規模の団体が多い。