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新国立劇場と中国国家大劇院「アイーダ」響き渡る日中の美声

2012/8/9

音楽レビュー

アイーダの和慧(右)とラダメスの水口聡(7月27日、新国立劇場提供)

新国立劇場が日中国交正常化40周年を記念して中国国家大劇院と共同制作した。コンサート形式で歌手の実力が問われたが、日中の歌手たちは期待通りの声で聴衆を魅了した。7月27、29日と上演され、29日を聴く。新国立劇場オペラパレス。

ベルディの代表的なオペラの1つである「アイーダ」は、エチオピアの王女アイーダとエジプトの将軍、ラダメスとの悲恋を描く。両国は争っており、アイーダはエジプトの王女アムネリスに仕える捕らわれの身。アムネリスもラダメスに心を寄せていて、3者の歌のバランスが求められる。

アイーダの和慧(ヘー・ホイ)は世界の名だたる歌劇場でこのタイトルロールを100回ほども歌ってきたというだけあって、貫禄十分。声色はアイーダそのものと思わせる。劇的な表現力と繊細な声音を次々と繰り出していた。ラダメスの水口聡も和慧に負けず劣らずの熱演で、有名な「清きアイーダ」などでホールに美声を響き渡らせた。アムネリスの清水華澄は、女性の強さと弱さを巧みに歌い分けていた。

拍手に応えるアイーダの和慧(7月27日、新国立劇場提供)

エジプト国王の田浩江(ティエン・ハオジャン)、祭司長ランフィスの妻屋秀和、エチオピア王アモナズロの袁晨野(ユアン・チェンイェ)も要所をきっちり。新国立劇場と国家大劇院の合唱団は好演。東京フィルはもう少し爆発力があってもよかったが、幕を重ねるごとに弦の表情が豊かになり、管楽器はアイーダトランペットも含め、見事なアンサンブルを聴かせた。広上淳一のメリハリのある指揮に歌唱陣とオケが応え、世界に誇れる演奏内容。ところどころカットされた2時間強の演奏は祝賀ムード以上のものをもたらし、高度な芸術の結晶となったといえる。

(編集委員 小松潔)

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