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エコノ探偵団

景気良くないのになぜ円高?

2012/8/7 日本経済新聞 プラスワン

小巻さんは「市場参加者が何に注目するかという“美人投票”も影響します」と付け加えた。この場合、自分が美人だと思う人を選ぶのではなく、「優勝する人」を当てるコンテスト。今は「みんな欧米の方が危ないと思うだろう」との思惑からドルやユーロが売られるいわば「不美人投票」だ。小巻さんは「日本の財政赤字拡大などに目が向けば、円が下落することもありえる」とくぎを刺す。

章司が事務所に帰ると、所長が「円高で値下がりした輸入自転車を買ったぞ」とはしゃいでいた。夫人の円子がぽつり。「値下げ分のお釣りは返してね」

米国は1971年、ドルと金の交換を停止した(ニクソン大統領)=UPI・サン共同

<日本、昔は固定相場制 米のドル・金交換停止、変動制に>

時々刻々と変わる通貨の交換レートだが、かつては世界でほぼ固定されていた。金(ゴールド)を基準に通貨の価値を決める「金本位制」を導入していたからだ。

重い金貨をやりとりするのは不便なので、中央銀行が金をまとめて持ち、その量に見合った紙幣を発行する。紙幣はいつでも決まった量の金と交換できる。こうした制度は19世紀の英国で始まり、日本も明治政府が採用。当初は1ドル=1円だった。

第2次世界大戦後は、大量の金を保有する米国が金を裏付けにドルを発行。これを基準に各国が交換レートを決めた。円は1ドル=360円に固定された。

しかし、世界で国境を越えた取引が盛んになると、ドルの国外流出が続いた。耐えられなくなった米国は1971年、金との交換を停止(ニクソン・ショック)。固定相場制は崩れ、日本も73年に変動相場制に移った。

経済規模が大きく金融取引が自由な国では、政府や中央銀行が自国通貨が安くなれば買い、高くなれば売るなどしてレートを一定に保つのは、お金がかかりすぎて難しいからだ。ただ、中国など新興国の一部は、海外からの投資などを制限し、レートを安定させる一種の固定相場制を採用している。

(松林薫)

[日経プラスワン2012年8月4日付]

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