働き盛りに多いドライアイ 目薬の使い方に注意間違うと症状悪化も

ドライアイを予防するために日常生活ではどのようなことに気をつけるべきか。吉野院長が指摘するのが、「PACS(パソコン、エアコン、コンタクト、ストレス)」の見直しだ。

コンタクトレンズは長時間の使用を避ける。角膜の神経が鈍り、涙の分泌の反射も悪くなるからだ。乾燥しにくいシリコーンハイドロゲルのものを選ぶのも良いという。パソコンを使う場合は意識的にまばたきし、1時間に数分は画面を見ない時間をつくる。保湿眼鏡をつけたり、加湿器で部屋の湿度を保ったりすることも効果的という。

市販の目薬はうまく使いたい。ソフトコンタクトレンズを装着したまま使用できる涙液型、ビタミンやアミノ酸を含み目の疲れなどをとる複合型などがある。「症状によっては複合型の方が効果的。コンタクトを装着している日中は涙液型、外した後に複合型といった使い分けもできる」(ロート製薬)という。

ドライアイ向けに、ムチン層に含まれる成分「コンドロイチン硫酸ナトリウム」やゴマ油の入った製品も開発されている。点眼は1日5~6回、間隔を5分以上開け、まつげやまぶたに触れないようにするのがポイント。開封した後は2~3カ月で使い切るのが良いという。

症状がひどい場合、防腐剤が入った目薬の使用は注意する必要がある。一時的に爽快感を得られても「涙の少ない状態で点眼すると防腐剤が薄まらずにそのまま目にたまってしまう」(小川医師)ためだ。傷ついた目の表面に防腐剤がたまると炎症を起こし、不快感が増す。

全身疾患の場合も

ドライアイのような目の違和感は糖尿病などの全身の病気のときに表れる場合もある。また、目が開けにくくなる「眼瞼(がんけん)けいれん」の初期症状はドライアイと似ている。症状が長引くようであれば早めに専門医に診てもらうよう心がけたい。

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受診しても良くならない… 眼瞼けいれん、疑って

「目がショボショボする」など初期症状がドライアイと似た病気に「眼瞼(がんけん)けいれん」がある。40歳以上の女性に多く、症状が進むと自分の意思で目が開けられなくなる。ドライアイの治療を受けても回復しなければ、神経眼科で詳しく調べた方がよい。

井上眼科病院(東京・千代田)の若倉雅登名誉院長によると、眼瞼けいれんは脳の神経回路の不調が主な原因とされ、ストレスや睡眠導入剤の服用などによって発症すると考えられている。初期には「まぶしい」「目が乾く」などの症状があり、「ドライアイと診断される場合も多い」(若倉名誉院長)という。

主な治療法は、目の周りに少量のボツリヌス菌の毒素を注射する「ボトックス療法」など。目を閉じる筋肉をまひさせ、目を開けやすくする。軽度であれば、目を開けやすくする器具のついたクラッチメガネや遮光レンズの使用で症状が和らぐ場合もある。若倉名誉院長は「慢性の病気なので家族の理解や支えのもと、上手に付き合うのが大切」と話す。

千葉大病院(千葉市中央区)の佐藤兼重教授(形成・美容外科)は「まぶたの筋肉の過剰な緊張は、目の周りのしわやたるみだけでなく、額の横じわなど表情全体に影響を及ぼす」と指摘する。女性に多い病気だけに美容的な側面からも、的確な治療が必要だ。

(鈴木碧、平本信敬)

[日本経済新聞夕刊2012年8月2日付]

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