五輪選手に学ぶ、効果的に体を冷やす方法熱中症予防にも

スポーツでも毎日の暮らしでも、目標達成のために欠かせないのは常にベストコンディションで臨むこと。ロンドン五輪で戦っているトップアスリートは、体調管理のために最新のスポーツ医学の成果を応用しており、その一つがアイシング(冷やすこと)だ。かつては捻挫、突き指など負傷時の応急処置に用いられてきたが、最近では熱中症予防や疲労回復の手段として注目されている。

スポーツ選手にとって夏の練習は暑さとの戦いだ。練習中の熱中症は、体調を大きく崩すことにつながる。予防の基本は徹底的な水分補給と適切な休息だが、最近はそれに加えてアイシング手法を熱中症予防に利用できないかという検討が行われている。

■早めに首筋、わきの下を冷やす

スポーツ医学の専門家で選手の熱中症対策にも取り組んできた国立スポーツ科学センター・スポーツ医学研究部の小松裕副主任研究員は「応急処置としてのアイシングに使われるアイスバッグ(ビニール袋などに氷水を入れたもの)を首筋、わきの下など、皮膚のすぐ下に太い血管が通っている場所に当てることで、熱のこもった体を冷却する効果がある」と話す。

アスリートたちが普段の練習時にも行ってきた方法のひとつだが、最近では臨床研究でもその効果が認められはじめた。例えば、横浜国立大学教育人間科学部では人工気象室を用いて、アイスバッグや市販の冷却シート、冷却スプレーなどの冷却効果を評価。アイスバッグの使用がもっとも快適で体温調節を助ける効果が高いという結果が得られた。

小松副主任研究員は「運動の休憩タイムや日常生活でも暑さを辛いと感じたときなどに、早めにアイスバッグによるアイシングを行うことが体調管理に役立つ」と話している。

■冷やせば筋肉痛の予防にも

運動後の疲労回復を目的としたアイシングも、スポーツ選手に広まっている。慶応義塾大学スポーツ医学研究センターの石橋秀幸研究員は「筋肉を酷使した後は、目立った痛みや腫れはなくても、筋肉線維に小さな断裂が起こっている。筋肉の回復が遅れると筋肉痛の原因になるので、予防手段のひとつとしてアイシングが行われるようになった」と話す。

運動後の疲労回復にとって重要なのは、まずクールダウンとも呼ばれる軽い運動やストレッチをしっかり行うこと。その後で、筋肉の腫れなどを感じたときにアイシングを行う。

石橋研究員は「大切なのは広い領域を均一に冷やすことと、決して冷やしすぎないこと」と指摘する。「冷水にひたしたタオルを軽くしぼり、肩、肘、足首などに巻くという方法がいい。冷たさを感じなくなったら、再び冷水にひたす。これを2~3回繰り返す程度がよい」と話す。

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