ヘルスUP

病気・医療

繰り返し流産・死産する不育症 支援が広がる 治療費の助成や相談窓口

2012/7/27 日本経済新聞 夕刊

 妊娠しても流産や死産を繰り返す「不育症」への支援が広がりつつある。治療費を助成したり相談窓口を設置したりする自治体が増加。今年1月からは原因の一つである血栓を予防する注射に保険が適用されるようになった。不育症の研究が進み、原因や治療法が明らかになってきたことが背景にある。ただ、社会的な理解が十分に深まっているとはいえず、一層の支援を期待する患者も多い。

 神奈川県内に住む会社員の女性(36)は次男(3)を出産後、流産を1回、死産を2回経験した。

 「悔しくて悲しくて、なぜ自分が生きているのか責め、眠れない日が続いた」。2回目の死産後、医師の勧めで不育症の検査を受けたところ、胎盤に血栓ができ、妊娠しても胎児に十分に栄養が行き届かない可能性があることが分かった。血栓は不育症の原因の一つとされる。

 女性は現在、妊娠6カ月。出勤前と帰宅後の1日2回、血栓を防ぐヘパリンを自宅で注射する。腹回りは注射で青あざだらけだが、「赤ちゃんを守るためにがんばって」という長男(9)の声援を受け、35週まで注射を使い続ける予定だ。

出産までに60万円

 悩みは治療費。出産までに注射代や診療代として約60万円かかる。ボーナスや貯蓄を切り崩して工面するという。

 不育症は妊娠しても流産や死産を2回以上繰り返すことをいい、妊娠ができない「不妊症」とは異なる。流産は全妊娠の10~20%で起こるとされ、原因疾患がなくても偶然続くことがある。厚生労働省研究班によると、年間2万~3万人が新たに発症している可能性がある。

 原因や治療法に関する研究が進み、不育症が少しずつ社会に知られるようになったことを受け、公的支援が広がり始めた。

 岡山県真庭市は2010年4月、全国に先駆け、治療費の一部を助成する制度を始めた。対象は保険適用外の治療を受けた人で、助成額の上限は年間30万円。11年度までに4人を支援した。市健康推進課の担当者は「妊娠しても赤ちゃんを出産できないのは切実な問題。経済的な負担を軽減したかった」と制度の狙いを説明する。

 不育症の患者団体「不育症そだってねっと」のまとめによると、治療費を助成するのは現在、全国で約30自治体ある。

 和歌山県は11年4月から年間3万円の治療費を助成。「これまでは不妊症の治療費を助成してきた。出産に関する悩みという点では不育症も同じなので、支援の範囲を広げた」(担当者)という。

ヘルスUP新着記事

ALL CHANNEL