語学レッスン、私の部屋で 学ぶ場少ない言語も手軽に
オンライン使い自分のペースで学習
インドネシア語、ヒンディー語、アラビア語……。英語や中国語などに比べて学ぶ人の少ない外国語を勉強するにはどうしたらいいだろうか。近場に語学教室がなかったり、そうした言語を扱っていなかったりというケースも多い。そんなときに便利なのがインターネットを活用したオンライン語学学習だ。
「好きな時間帯に自分のペースで勉強できる。思った以上に便利」と話すのは、オンラインでインドネシア語を勉強している千葉県旭市に住む向後善子さん(34)。家族が経営する松山鋼材(千葉県旭市)は毎年インドネシアから研修生を迎えており、同国の言語に興味を持った。
しかし、近所にはインドネシア語を学べるところがない。「週末に東京都内に習いに行くことも考えたが、交通費や時間がかかる」と向後さん。そこで、ネーティブの先生と1対1のレッスンを受けられるオンライン学習の受講を決めたという。
チャット機能を活用
向後さんが学ぶのはインターカルチュラル・ネットワークス・ジャパン(INJ、東京・港)のオンラインレッスン。対面型レッスンで教える先生がネット通話「スカイプ」を使って授業をする仕組みで、自宅のパソコンでレッスンを受けられる。
受講料は対面型レッスンより安く、55分間のレッスン10回で約5万5000円。INJの近藤由美社長によると「仕事で東南アジアに赴任するので言葉を学びたいという人が増えている」という。
パソコンの画面に先生の顔が映り、チャット機能で板書もできるなど、授業の中身は教室での対面型とあまり変わらない。「自分の部屋で好きな時間にレッスンを受けられる。メリットの方が大きい」(向後さん)
ゴーウェル(東京・千代田)が運営する、ミャンマー語やタイ語を教えるTCCは今月からミャンマー語のオンラインレッスンを始めた。料金は50分のレッスン10回で2万5000円。責任者の深野真智子さんは「需要増に対応した。場所代がかからない分、低価格でレッスンを提供できる」と話す。無料レッスンを10分間受けられる仕組みもあり、体験学習から始められる。
オンライン語学レッスン専門のイーコミュニケーション(東京・新宿)は対象言語を20種類に拡大。国内外にいる講師が24時間365日教えられるのが強みだ。最近は朝の時間を有効活用する会社員が増え、午前5時から受講する例もあるという。
パソコン技術も支援
同社にはパソコンの設定などを手伝う技術スタッフもいる。成田勝行社長は「中高年にはレッスン以前にパソコンの設定が分からない人も多い。技術サポートを用意することで中高年の受講者が増えた」と話す。
いきなりオンラインではなく、まず教材と組み合わせるという選択肢もある。例えば、ロゼッタストーン・ジャパン(東京・渋谷)は発音などを音声認識するソフトで学ぶ形式の教材を提供している。言語は30種類。
最新の「ロゼッタストーン・トターレ」にはオンラインのグループレッスンや他の受講者とゲームやチャットをする機能もある。「トターレ」対応のベトナム語やアラビア語の場合、レベル1~3まで学べる教材が6万2800円。
様々な言語に興味はあるがお金をかけたくないという人には、東京外国語大学が開発した言語モジュールが便利だ。20種類の言語が無料で学習できる。各言語の方言まで詳しく学べるのが特徴。パソコンで文法、発音、会話、語彙の4分野を学べる。会話と語彙のみ対応のスマートフォン版も27日に公開する。提供言語を増やしており、今年度中にペルシャ語とミャンマー語も加える予定だ。
開発に携わった言語文化学部の川口裕司学部長は「まずパソコンで言語モジュールを使って文法や発音を学び、外出先ではスマホで会話を復習するといった使い方がおすすめ」という。
今年の夏、海外旅行に出かける人も多いだろう。オンラインで渡航先の言語を学び、旅先で使ってみるのもいいかもしれない。
(電子報道部 岸田幸子)
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