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富山・アルペンルート 景色と涼 高原で楽しむ 木々と残雪 対比美しく

2012/7/28 日本経済新聞 夕刊

 富山県の立山駅(立山町)と長野県の扇沢駅(大町市)を結ぶ山岳観光ルート、立山黒部アルペンルートが全線開通して40年余り。7月上旬には立山側にある弥陀ケ原(みだがはら)高原が、国際的に重要な湿地の保全を目的とするラムサール条約に登録された。標高2450メートルとルートで最高地点に位置する室堂の平均気温は夏でも14~16度。ひとときの涼を求めて、アルペンルートの立山側、美女平から大観峰までを訪ねた。

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「餓鬼田」と呼ばれる小さな池が点在する弥陀ケ原

 立山駅から立山ケーブルカーで7分、美女平に到着する。標高977メートル。駅前で待ち受けるのは「出迎え杉」。案内板には、8世紀初頭に立山を開山したと伝わる佐伯有頼の許嫁(いいなずけ)の姫ゆかりの「美女杉伝説」が書かれている。「山を開くまで会えない」と有頼に追い返された姫が、帰る途中に1本の杉に願をかけると、後に2人は結ばれたとの話だ。

 このため、姫と同じように「美しきお山の杉よ心あらばわがひそかなる祈りききしや」と美女杉の前で3度唱えて祈ると、恋が成就するという言い伝えが残る。一方、女人禁制の立山に入った尼が神の怒りに触れ、杉に変えられたという伝説も。いずれが史実に近いかは分からないが、空へ伸びる杉を見ていると、そうした信仰が生まれても不思議ではない気がした。

 美女平から高原バスで弥陀ケ原へ向かう。標高2000メートル前後にある弥陀ケ原は高原であり、湿原でもある。

 「立山という山は存在していません」。標高1930メートルに位置する弥陀ケ原ホテルが毎日夕方に開く「散策会」は、営業部長の森信了さん(44)のそんな一言で始まった。立山は3つの峰(雄山=おやま、大汝山=おおなんじやま、富士ノ折立=ふじのおりたて)の総称という。

 様々な高山植物に出合える弥陀ケ原。森さんが道ばたの植物を次々と紹介する。黄色い花をつけるゼンテイカ(ニッコウキスゲ)、チクチクした紫色の花が特徴的なハクサンチドリ、葉がハート形をしているマイヅルソウ……。興味深かったのがダケカンバ。「シラカバの仲間ですが、厳冬期は雪に埋もれているため、枝が曲がっています」と森さん。厳しい環境の中で生き抜くたくましさを感じた。

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