勉強は「一夜漬け」よりも「合間に仮眠」で効果アップ

「スポーツや勉強ができるようになりたければ、仮眠をとろう」。最近の研究で、こんな仮眠の利点がわかってきた。ポイントは運動や勉強を終えた後、すぐに寝ることだ。睡眠中に脳が活発に働き、覚えた体の動かし方や知識が記憶として固定されやすいという。通常の睡眠に加え、仮眠もとることを専門家は提案する。

早稲田大学の内田直教授と大学院生の守田優子さんが2011年に手がけたおもしろい実験がある。複数のボールや棒をお手玉のように回す「ジャグリング」を経験のない人に習得してもらうため、30分間練習した後の過ごし方を変えてみた。8人ずつ2つのグループに分け、一方は70分間仮眠をする。もう一方はテレビを見たり本を読んだりして過ごす。

仮眠した人のほうが上達早く

結果は仮眠をした8人の方が上達が早かった。平均で何回ボールを回せたかを調べたところ、練習直後は4.4回だったが、仮眠をはさんで夕方にもう一度テストしたら7.9回に増えた。これに対し、起きて過ごしたグループは3.6回から4.9回へと、わずかに増えただけだった。

効果が持続するのかを検証するため、翌日の朝にもテストをした。昼間に起きて過ごしたグループは7.6回にとどまったが、仮眠をとったグループは14.5回と、前日の夕方の2倍近くできるようになった。「仮眠は体が休まるだけでなく、習得した技能を向上させる効果も期待できる」と内田教授は話す。

なぜ、練習の後に仮眠をとると上達が早いのか。ピアノの弾き方や泳ぎ方、車の運転など身体で覚える記憶は「手続き記憶」と呼ばれる。意識しなくても反射的に出てくる行動の基になるものだ。運動能力と深く関わる小脳と関係がある。

詳しい仕組みについては研究が始まったばかりだが、一時的に蓄えられた手順に関する記憶が寝ている間に変化し、手続き記憶として小脳に定着するからではないかと考えられている。「下手に練習を長時間続けるよりも、定期的に仮眠をとった方が効率がよい」。睡眠中の脳の学習機能を調べている国立精神・神経医療研究センターの栗山健一室長はこう指摘する。

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