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宮城・石巻市田代島 観光再興、招き猫に託す

2012/7/21 日本経済新聞 夕刊

宮城県の石巻湾に浮かぶ面積3平方キロメートルほどの小さな島、田代島。ここ数年「猫の島」として有名になった場所だ。訪れる人も急増していたところに東日本大震災が発生した。大きな打撃を受け、一時は観光どころではなくなっていたが、猫の力を借りて復興が進む。

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毎朝、猫たちは港に戻ってきた漁船のそばにむらがる

石巻港から定期船に乗って約50分。7月初めの平日午後、降り立った田代島の仁斗田港は静かだった。「何もない離島」という言葉がしっくりとくる。しかしよく見ると、いる。猫だ。

港を少し離れてもいる。家の軒先、塀の上、道端などあちらこちらに。こちらをじっと見つめる猫、走り寄ってくる猫、逃げ去る猫、様々。人はあまり見かけない。朽ちた家屋も混じる集落の中で、時間は止まってしまい、猫の息づかいだけが聞こえてきそうだ。

島の人口は100人を大きく割り込み、70~80代が多い。一方、猫は120~130匹いると見られる。震災で一部の猫が行方不明になったものの、その後子猫が生まれ元に戻ったという。

島は7年ほど前にテレビで「猫の島」と紹介されてから有名になったのだが、そもそも島民は昔から猫を大切にしていた。漁が盛んだった島では「猫は大漁を招く」といわれた。島の中央部には猫の安全と大漁を祈願して造られた小さな「猫神社」もある。

家の中で飼われている猫はほとんどいない。気ままに生きる猫たちに島民は魚や全国から寄せられたキャットフードなどを毎日きちんと与える。震災後の猫たちを心配して、2カ月ごとにボランティアで島を訪れているドイツ在住の獣医師、クレス聖美さん(58)も「猫たちの栄養状態は良好。昨年から予防接種や風邪の治療もしているので、弱っている猫は目に見えて減った」と太鼓判を押す。

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