消費税率10%時代 財務省の力の源って何?

「消費税率10%時代が来るわ。財務省は一度掲げた計画は必ず実現するのね」。友人のつぶやきに探偵の深津明日香は耳を傾けた。「財務省の力の源って何かしら。本当にそんなに強いの」。友人の疑問に早速調査に乗り出した。

予算配分、政策の調整役

明日香は手掛かりを探しに東京都内の大手書店に入ってみた。「財務省のマインドコントロール」「財務省秘録」。書棚に刺激的な題名の本が並んでいる。その一冊、「財務省支配の裏側」を手に取った。著者で兵庫県立大教授の中野雅至さん(47)は厚生労働省出身だ。実情を聞いてみた。

予算を求める官庁は査定する財務省主計局へ、大量の書類をカバンや風呂敷で抱えて何度も説明に行く。課長が出向いても、応対するのは入省年次が若い課長補佐級の主査だ。26兆円を超す厚労省予算をわずか5人の主査で分担し、「忙しいから」と深夜まで待ちぼうけも日常茶飯事だと言う。

こんな予算編成や税の徴収など見えやすい「ハードパワー」に加え、「ミドルパワーやソフトパワーも見ないと財務省の強さは分かりませんよ」とささやく。

ミドルパワーとは多くの役所に張り巡らせた人的ネットワークのこと。例えば内閣府のいまの事務次官は財務省出身。防衛省や環境省にも次官候補の幹部職員を送り出し、首相や官房長官の秘書官にも出向者がいる。各府省の定員の増減を決める総務省の管理官、給与配分を差配する人事院の給与第二課長など、霞が関のヒトとカネの急所を握るポストも押さえている。

さらにソフトパワーは情報収集力の強さだと言う。「各府省は予算を握る主計局に常に気を使い、あらゆる情報を耳打ちしています。予算に絡む国会答弁も必ず財務省の了解が要るんですよ」と中野さん。

次に訪ねたのは自民党政権で経済財政諮問会議の担当相を務めた政策研究大学院大教授の大田弘子さん(58)。「政策論議を突き詰めると最後は予算の裏打ちの話になります。数字を片手にさじ加減を測る財務省が政策全体の調整役になるんです」と教えてくれた。

「財務省が“強い”裏側は見えてきたけど他の国ではどうなの?」。明日香は日本と同じ議院内閣制の英国の政治に詳しい成蹊大教授の高安健将さん(40)に疑問をぶつけてみた。

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