「数カ月に1回程度なら経過をみてもよい」と同センター病院の睡眠障害外来も担当する三島部長は話す。だが、「夜中に週1回以上起き、それが長期間続いている人は睡眠の質が低下したり、他の病気や治療薬が原因だったりする場合もある。我慢せず医師の診察を受けた方がよい」と助言する。薬が原因なら別の種類に調整できることもある。

起きたときの対処法の一つは、つま先を手前に引き、ふくらはぎの筋肉を伸ばすこと。この際、ひざは曲げないようにする。「手が届かない人はつま先にタオルを引っかけたり、たんすの角に押し付けたりする方法もある」(三島部長)。予防策としては、入浴して血行をよくし、寝る前につま先を手前に引いてストレッチしたり、ふくらはぎをマッサージしたりする。

「夏は汗をかいて水分やナトリウム、カリウムなどを失うことが多いので注意が必要だ」と指摘するのは、有楽橋クリニック(東京・銀座)などを経営する三喜会の林泰理事長だ。カリウム補給には、緑黄色野菜やバナナなどの果物を多めに食べるのがおすすめという。運動前はしっかり補充し、こむらを伸ばす準備運動をする。前日にお酒を飲み過ぎて脱水状態にならないように注意する。

また、一時的な糖分の取りすぎで起きることもあるという。「こむら返りは運動不足や偏った食事など生活の乱れのサインかもしれない。もし起きたら、自分の生活を見直してみてほしい」と林理事長は話す。

治療に漢方薬を使うケースもある。代表的なのは芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)で、服用すると「通常は2、3分で、早い人は1分以内で治まる。睡眠時にこむら返りを起こしやすい人は、寝るときに枕元に置いておくとよい」と北里大学東洋医学総合研究所の花輪寿彦所長は説明する。

この薬は妊娠中でも使え、ほとんどの人は問題なく服用できる。ただし飲み続けると、まれに足のむくみ、血圧上昇、血中カリウムの低下などが起きる場合もあるので注意が必要だ。このほか、八味地黄丸(はちみじおうがん)は高齢者のこむら返りに適しているという。「どのようなこむら返りかによって、使い分けることもできる」と花輪所長は話している。

(編集委員 賀川雅人)

[日本経済新聞夕刊2012年7月13日付]

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