海外旅行、アプリが案内役 翻訳・為替計算もラクラク
もうすぐ夏休み。格安航空会社の就航やロンドン五輪の開催などを受け、今年は海外旅行を計画している人も多いだろう。だが、なれない土地では勝手が分からず不安もある。そんな時にはスマートフォン(高機能携帯電話=スマホ)のアプリ(応用ソフト)が助けになりそうだ。翻訳や為替計算など様々な機能を使いこなそう。
東京都内のIT(情報技術)関連企業に勤める森下麻由美さん(32)は5月上旬、友人と2人でインドネシア・バリ島に旅行に出かけた。買い物に活用したのは、通貨換算アプリ「eCurrency・通貨のコンバーター」(アイフォーン用)だ。通貨を2つ選び、数字を入力するとレート換算ができる。
現地通貨ルピアはなじみがなく、相場感がつかみづらい。森下さんは出国前に同アプリをスマホに搭載。旅の前半から使っていたが「後半になると、高値づかみをしていたことに気づいた」という。それからは「値切り交渉をして、小物類を安く手に入れることができた」。
スマホはネットにつながりさえすれば、国内外を問わず様々なサービスを利用できる。
例えば、旅行口コミサイト、米トリップアドバイザーの公式アプリでは、旅行者が投稿したレストランなどの感想を読むことができる。英語のコメントも多いが「主要都市の人気レストランで、日本語の口コミがない店舗を優先して翻訳作業を進めている」(日本法人)。
対応言語数増やす
翻訳・外国語会話アプリもある。情報通信研究機構(東京都小金井市)は従来の翻訳アプリを刷新し、近くアイフォーン用の「VoiceTra4U-M」を出す。端末に話しかけると別の言語に翻訳し発音する。音声で入力・出力ともできる言語数を6から13に増やした。
「世界会話手帳」(アイフォーン用)は例文から選ぶタイプ。13の言語に対応。宿泊や免税店など場面に応じた2000種類以上の表現を用意しており、「日本のお金は使えますか」など日本語の文章を選ぶと、外国語が表示され、音声も出る。
五輪対応も進んでいる。損害保険ジャパンが提供する旅行や生活などの問題解決アプリ「トラブルCh」では6月から「五輪」と入力すると、ロンドンの2階建てバスの乗り方などが分かるようになった。「今後も五輪関係の情報を拡充したい」(マーケティング部)という。
「GoogleMaps(グーグルマップ)」(アイフォーンとアンドロイドに対応)などの地図アプリも便利だ。また、航空機のフライト情報が分かるアプリ「FlightTrack」(同)では、出発便の時刻や飛行スケジュールなどを確認できる。
「スマートフォン時代のインテリジェント旅行術」の著書がある旅行作家、吉田友和さん(35)は「これまでは帰国してから周囲に土産話をするしかなかったが、旅行の楽しみ方が変わってきた」と指摘する。旅行のSNS(交流サイト)で同じ興味・関心を持った人たちがつながり「一緒に海外旅行に行く人も増えそう」と話す。
データ通信料に注意
気をつけたいのがデータ通信料だ。使い方次第で万円単位の高額請求が届く恐れがある。日本でパケット定額制に入っていれば、海外版の定額制が利用できるが、それでも上限額は1日2980円と国内に比べると高い。渡航先などによって接続先(回線業者)を手動で変更しなければならない場合もある。事前によく調べてから出かけよう。
空港やホテル、飲食店などの無料WiFi(無線LAN)サービスなら、お金をかけずにネット接続できる。カード番号を入力しない、不必要なときはつなげないなど、セキュリティーに注意しながら利用したい。
(電子報道部 皆上晃一)
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