<日本、かつては土地神話 住宅数、バブル後も増加続く>

経済成長期の象徴だったニュータウンは、老朽化と空き家問題に取り組んでいる(1975年当時)

地価は上がり続ける――。かつて日本全体がそう信じ、様々な制度がそれを前提に成り立っていた。いわゆる“土地神話”である。

戦後、日本の地価は高度経済成長を背景に上がり始める。高騰は1964年の東京五輪のころまで続いた。いったん不況で鈍化したが、田中角栄首相が唱えた「日本列島改造論」による開発ブームで再び加速。第一次石油危機後の74年だけ下落したものの上がり続けた。国は土地取引の混乱に対応するため「公示価格」を示した。80年代にはバブル経済で3度目の高騰が起きた。

銀行は将来の地価上昇を当て込んでお金を貸した。企業はそのお金で土地を買い、地価はさらに上がった。ピーク時には「日本の国土を売ると米国が4つ買える」と言われたが、バブルがはじけるとこの流れが逆回転を始め、長期の不況や金融危機につながった。

一方、住宅の数はバブル崩壊後も増え続けている。戦後の住宅不足を経て建設ラッシュが起きたのは50年代。経済成長とともに東京や大阪の近郊にニュータウンが造られた。60年代後半に初めて住宅総数が世帯数を追い越した。人口減で世帯数の伸びが鈍化した今も住宅建設は続いており、空き家問題にも直面している。

(松林薫)

[日経プラスワン2012年6月30日付]

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