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乳幼児の予防接種が拡大 スケジュール作りに苦労 同時接種、分かれる見解

2012/6/29 日本経済新聞 夕刊

 乳幼児向けの予防接種の種類が増える中、多くの保護者が悩むのがスケジュールづくりだ。2歳までに接種が推奨されているワクチンは現在10種程度。期間をおいて複数回、打つものもあり、ひとたび予定が狂えば、日程を組み直す必要がある。専門家らは「医療機関や民間団体の情報を活用するなどして効率よく接種し、幼い子供を感染症から守ってほしい」と呼びかけている。

 東京都足立区の住宅街の一角にある和田小児科医院。平日午後3~4時の「予防接種受付時間」には、区内だけでなく、近隣自治体からも来院者があり、広い待合室は乳幼児を抱えた母親で混み合う。

相次ぐ承認

 同医院は同時接種を推奨する医療機関のひとつ。「来院が月1回ですむので、とても助かっている」と話すのは同区内の主婦(39)。この日は6カ月の次女に「ヒブ(インフルエンザ菌b型)」「小児用肺炎球菌」「3種混合」の3種類のワクチンを同時接種するため来院した。「11歳になる長女の時はもっと少なかった。10種類をカバーしようとすると同時接種はやむを得ない」と話す。

 予防接種のスケジュール管理が難しくなっているのは、厚生労働省が2007年以降、0歳時から接種できる「ヒブ」「小児用肺炎球菌」「ロタウイルス」などのワクチンを次々と承認したためだ。

 これらは一定の間隔を空けて2~4回接種する必要がある。同医院の和田紀之医師(65)は「同時接種しなければ、生後6カ月までに計15回の通院が必要となり、保護者の負担が大きい」と指摘する。

 乳幼児の予防接種を巡っては、昨年春、複数のワクチンを同時接種した乳幼児の死亡例が相次いで明らかになり、厚労省が一部の予防接種を見合わせる事態に発展。結果的に「明確な因果関係は認められない」として、1カ月後に再開した経緯がある。

 日本赤十字社医療センター小児科の薗部友良医師は「同時接種の安全性は諸外国の事例で明らか」と強調。「世界保健機関(WHO)が推奨する世界標準のワクチン接種方法を国内でも実践してほしい」と厚労省などの関係機関に訴える。

 ただ、こうした混乱を受け、同時接種に懐疑的な小児科医や保護者もいる。

 予防接種制度は種類ばかりでなく、公費助成の仕組みなども変化が激しい。09年に民主党政権が誕生してから助成事業が次々と立ち上がったことで、1人目の子供と2人目とでは大きく変わっていることも珍しくない。住居を構える自治体による独自の費用補助もある。こうした中、最新の情報を求める保護者を支援する動きも広がっている。

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