クルマ、家庭…水素は世の中を変える?

〈都市ガスも水素に? 天然ガス移行の経験生きるか〉

「水素社会」の未来予想図では、家庭に届く都市ガス自体が、現在の天然ガスから水素に代わる。家のガレージで車に水素を補給でき、コンロの火は二酸化炭素(CO2)を出さない――そんな時代が来るかもしれない。だが、そもそも都市ガスの水素化に実現性はあるのだろうか。

高圧の水素は金属を劣化させるため、様々な素材を試して安全性を高めている(北九州市の水素タウン)

実はガス業界には、1970~80年代に、石油や石炭から作っていた都市ガスを天然ガスに切り替えた歴史がある。ちなみに当時の石炭系ガスの多くは、成分の30~50%程度が水素だったという。

ガスの切り替えはガス管から規制まで様々な変更を伴った。熱量が大幅に高まったので、コンロや給湯器などは1軒ずつ確認し、新しい規格に合うよう調整しなければならない。大都市ではこうした作業に20年近くもかかった。

都市ガスを水素に切り替える場合も同じような困難を伴うとみられ、10~20年では実現しそうにない。現在は安全性の高い機器の開発などを進めており、一部の実用化にメドが立った段階だ。

一方、当初1台1億円超とされた燃料電池車は数百万円での発売にメドがつき、規制見直しなどで水素ステーション設置も「現在6億円だが2億円以下にできる」(経済産業省)。普及が加速する可能性がある。

(松林薫)

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