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貸会議室、なぜ増える? 空き室活用、手軽に開業 エコノ探偵団

2012/5/27 日本経済新聞 プラスワン

「最近、オフィス街を歩いていると、貸会議室の看板がよく目につくんだ」。会社勤めの友人の言葉に、探偵の松田章司は首をかしげた。「ムダな会議は減っていそうなものだけど、なぜ増えているんだろう。裏に何かあるな」

調査のため章司がまず向かったのは、全国の貸会議室の情報サイト「会議室.COM」を運営するアスノシステム(東京都港区)。「現在登録されている施設は約750カ所で、総部屋数は約3400室です。3年前より1割強増えました」と高田幹也さん(36)が教えてくれた。

■容積率が緩和

同社の推計では、現在全国に約1万室の貸会議室があるという。専業の貸会議室事業者のほか、不動産会社や広告代理店が副業で手掛けるケースが多いようだ。「テーブルやイスなどがあれば、比較的簡単に開業できます。オフィスビルの空き室の有効活用になっているのです」と高田さん。

ティーケーピー(東京都中央区)の運営する貸会議室は、国の事業仕分けにも使われた

長引く景気低迷でオフィス需給が緩んでいるうえ、再開発が相次ぐ東京はビルが供給過剰気味だ。オフィス仲介の三鬼商事(東京都中央区)によると、4月の東京(都心5区)のオフィス空室率は9.23%。リーマン・ショック前の2008年4月の3.03%と比べて高い水準が続いている。大阪や名古屋など主要都市でも空き室を活用した貸会議室は広がっている。

昨年3月に貸会議室の専門ビルを開業したエッサム(東京都千代田区)に事情を聴いてみた。会計事務所向け事務用品などの販売が本業だが、本社ビルの遊休会議室を有料で貸したところ、立地の良さもあって好評だった。そこで23億円をかけて専門ビルを建てた。101人が入れる大会議室の場合、平日午前(3時間)なら5万2500円で借りることができる。

会長の八鍬昭さん(74)は「実は会議室を時間貸しした方が、貸事務所として賃貸契約する場合の2倍の収益になることがわかったんです」とうれしそう。

すると「それだけではありませんよ。新ビルを建てるときに、貸会議室を設けると高層ビルが建てやすくなるというメリットもあるんです」。再開発ビルを中心に展開する住友不動産ベルサール(東京都新宿区)社長の木沢聡さん(47)が解説してくれた。

貸会議室は不特定多数の人が利用できる公共スペースとみなされ、ビル容積率の規制が緩和されるという。同じ敷地面積でも総床面積を広くでき、テナントを増やして賃料収入などを増やせるようになる。

「貸会議室が増える理由はわかってきたけど、なぜ使われているんだろう」。全国約120施設で貸会議室を運営するティーケーピー(TKP、東京都中央区)社長の河野貴輝さん(39)を訪ねると、「企業だけでなく、個人を含めて様々な使い方がありますよ」と意外な答えが返ってきた。

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