足だけではない 感染力強い水虫の菌が頭や体に

感染力強いが、症状比較的軽い

首や顔などに菌が感染した場合は、赤い斑点が出るので異変を見つけやすい。これに対し、頭部に感染した場合は一見するだけでは分かりにくく、気づかないまま感染を広げてしまうこともある。

トンズランス菌は感染力が強い半面、症状は比較的軽い。ふけやかさぶたが少しできる、毛穴に菌が入り込んで黒い点ができるといった症状にとどまる患者が多い。ただし中には、頭皮が盛り上がって膿(うみ)が出たり、脱毛が起きたりする例もある。清教授は「円形脱毛症と診断され、治らずにずっと悩んでいた例もあった」と正確な診断の重要性を訴える。

感染が疑われた場合はまず、ブラシ検査を実施する。短い毛が並んだブラシを使い、先端部が頭皮全体に当たるように、やや強めに10~15回とかす。そのブラシの先端を寒天に押し込んで培養し、2週間後にどんな菌が増えたか観察する。

治療中断せず、しっかり治して

菌を特定したら、治療にうつる。体のたむしだけの場合は塗り薬を使う。頭部も感染していた場合、菌が少ない人は抗真菌剤入りのシャンプーを使って効果をみる。菌が多い人は飲み薬を使うのが基本だ。外敵から身を守る免疫機能が低下すると菌が増えてしまうので、免疫を抑えるステロイド入りの塗り薬を使わないようにする。

適切に治療すれば1週間ほどで症状が消える。この段階では菌がまだ皮膚の毛穴に潜んでいるので、治療をやめると保菌者のままになってしまう。

順天堂大学練馬病院の比留間政太郎教授は「症状が消えたからといって治療を中断せずに、薬を1~2カ月程度使い続けてしっかりと治すことが重要だ」と話す。しらくもはブラシ検査を再度実施し、菌がいなくなったのを確認するまでが治療だ。

治っても、家族や部活動の仲間などが菌を持ち続けていると、再感染につながる場合もある。脱毛を繰り返したり、顔や首などに赤い斑点がいつまでも残ったりする。「感染源になりうると自覚し、責任を持って根気よく治療してほしい」と専門家は口をそろえている。

(鴻知佳子)

[日本経済新聞夕刊2012年5月25日付]

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