痛みを感じない程度に伸ばす

ストレッチのやり方は簡単だ。まず、正面を向いたまま頭を左に倒し、耳を左肩に近づけて止める。これを30秒間保つと、首から肩に広がる僧帽筋上部線維を伸ばせる。頭を左に向けて倒し、鼻を左肩に近づけて30秒間静止すると、首筋にある肩甲挙筋を伸ばせる。

痛みを感じない程度に伸ばすのがポイントだ。左に頭を傾けると、つられて右肩も上がろうとするため、右手で椅子をつかむとよいという。左右交互にやって、3セットを目安にする。

これで肩こりの症状をかなり解消できる。ただ、首都大学東京・健康福祉学部の竹井仁・教授は「僧帽筋下部線維を鍛えることも心がけてほしい」と話す。肩や肩甲骨を下に引き下げる働きがあり、僧帽筋上部線維と肩甲挙筋が縮むと、伸びた状態になる。この筋肉を強くしてやれば、僧帽筋上部線維と肩甲挙筋が縮こまって硬くなるのを抑えられ、肩こりの予防につながる。

両腕を開いて肘から上を天井に向けたまま、肩甲骨を下方向に動かす。十分に下まで下がったと感じたらその状態を5秒維持し、その後元に戻す。この動作を10~20回繰り返す。上部線維と肩甲挙筋を伸ばす効果もある。

パソコン作業中なら1時間に1回めど

「ストレッチはできるだけ頻繁にやった方がよい」と、竹井教授はアドバイスする。例えば、パソコン作業中なら1時間に1回を目安にしたい。通常のデスクワークでも「疲れたな」と感じたらストレッチをやるようにする。こまめに実行すると血行もよくなり、肩こりを和らげる効果も高まる。

肩の痛みには、筋肉の緊張ではなく、病気が原因の場合もある。肩の関節周辺が炎症を起こす五十肩が思い浮かぶが、心臓病などの深刻な病気の前兆というケースもあり、要注意だ。1カ月以上ストレッチを続けても痛みが変わらなかったり、しびれが続いたりするようなら、専門医に受診することをおすすめしたい。

(上林由宇太)

ひとくちガイド
《ホームページ》
◆肩こりの基本的な原因や対処法について知りたい人には「肩こりどっとこむ」のホームページ(http://www.kata-kori.com/)
《本》
◆肩こり解消・予防につながる「肩甲骨ストレッチ」について詳しく知りたい人には「肩こりがスッキリ治る本」(上原健志、中径出版)

[日本経済新聞朝刊2012年5月20日付]