白や水色など淡い色合いや薄い洋服が増える初夏。着心地は爽やかだが、ちょっとした汚れでも目立ちやすい。文房具のインクや跳ねたソース……。記者はこれまで何枚ものシャツを泣く泣くダメにしてきた。職場や外出先でもできる洋服汚れの対処法はあるのか、コツを探った。
一番多い悩みが食べ物の汚れ。ランチの麺や夜の宴席などで気づかぬうちに汚れている。そのまま放置し後日あわててクリーニング店に持っていっても、落ちないこともしばしばだ。
「時間がたつほど、汚れをきれいに落とすのは難しくなる」。花王の生活者研究センター主任研究員の弦巻和さんは、衣類についた汚れは時間とともに繊維の奥に染み込み、定着し、落ちにくくなると話す。
弦巻さんによると、外出先でもできる染み抜きの基本動作は、以下の通りだ。まずはシミの部分を乾いた布やティッシュで「トントン」とたたき、余分な固形物を吸い取る。その後、歯ブラシや布に水をしみこませて、また乾いた布で「トントン」。シミが広がって輪にならないよう、水を当てる場合はシミの外側から中心部に向かって進める。これなら布と水さえあれば染み抜きできる。
それでは時間がたつと、汚れはどれほど落ちにくくなるのだろう。シャツやハンカチによく使われる素材、綿100%の無地の生地で試してみた。
用意したのは白い綿の布としょうゆ。綿の布4枚にしょうゆを1滴ずつたらし「そのまま」「すぐ処置する」「翌日シミ抜きする」「1週間後にシミ抜きする」布に分け、シミの濃さをチェックした。
実験1日目。スポイトで生地にしょうゆをたらす。すぐに水を染み込ませたタオルで優しく「トントン」と両面からたたくと、汚れがタオルにうつり、意外にもすんなり色が消えた。
翌日、乾いたシミに同じ方法で試してみる。ほんのり跡が残ったが外出できる程度まで色が抜けた。付着後すぐに水ですすげばシミに悩まなくて済むのかも。
一週間後、放置していたしょうゆのシミを見て「おやっ」と思った。最初よりシミの色がやや濃くなった気がする。タオルでたたいても簡単に落ちず、シミの輪郭が残ってしまった。シミ抜きはスピードが命、遅くなるほど落ちにくくなるのは確かなようだ。