昼間に眠気・だるさ、不眠症の治療に新薬長期使用でも効果持続

不眠症は疲れているのに夜間によく眠れず、仕事や学業など昼間の日常生活に支障を来す。日本人の約5人に1人が不眠の悩みを抱えているといわれている。生活習慣の改善などで症状が好転する例はあるが、睡眠薬も有効な治療法だ。米国で広く使われている睡眠薬が日本でも4月に発売された。長期間投与しても効果が低下せず、期間の制限もないのが特徴という。専門家は「上手に薬を活用できれば、症状改善が期待できる」と話している。

約23%の男女が睡眠障害に悩む

必要な睡眠時間は一般的に大人で6~8時間程度といわれているが、人それぞれ異なる。睡眠時間が短くても、眠気や疲労感を感じなければ問題ない。不眠症は眠ろうとしてもなかなか寝付けない、夜中に何度も目が覚める、朝早く目が覚めてその後眠れない、熟睡できないといった症状が表れる。「何らかの睡眠の障害が2~3週間以上続き、昼間の生活に支障が出たら不眠症の可能性がある」と久留米大学の内村直尚教授は指摘する。

健康・体力づくり事業財団が1997年に20歳以上の全国の男女約3000人を対象にまとめた調査によると、約23%が睡眠での休養が不十分で、昼間の眠気に悩まされているケースも少なくなかった。疲れが取れず昼間に眠気が出ると、集中力や判断力などが低下する。仕事の効率が落ちてミスを起こしやすくなる。自動車を運転する人なら重大事故を招く可能性も高まる。

糖尿病のリスク上昇も

また、体の防御システムである免疫が弱まり、風邪を引きやすくなるなど病気の発症や悪化の原因にもなる。血圧上昇や糖尿病のリスクが高まることもこれまでの研究で分かっている。

不眠症を引き起こす原因はいくつかある。不規則な生活を続けると、人体でリズムを刻んでいる「体内時計」が乱れてしまう。心理的なストレスもよくない。東日本大震災で強いストレスを受けて不眠になった被災者は数多い。

このほか、体の痛みやかゆみ、発熱などで眠れないケース、コーヒーなどに含まれるカフェインや服用している薬が原因になるケースなどもある。鬱病や認知症、睡眠時無呼吸症候群などの病気でも不眠を伴うことが多い。

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まずは生活習慣の見直し