ライフコラム

エコノ探偵団

「○×△放題」もうかるの? お得感で回転率上げる エコノ探偵団

2012/5/6 日本経済新聞 プラスワン

「ファミリーレストランや携帯電話で『○×△放題』って宣伝をよく見かけるけど、会社はもうかっているのかしら」。近所の主婦から寄せられた疑問に、深津明日香が思わず身を乗り出した。「調べてみます」と事務所を飛び出した。

明日香が向かった先は「ステーキガスト」の落合南長崎店(東京都豊島区)。雨天の平日でも、お昼時は子供連れの主婦やサラリーマンでいっぱいだ。サラダ、スープのほか果物、ババロアなどデザートがあり、ライスやパン、カレーもある。ハンバーグ、ステーキなど主菜を1品注文すれば、すべて食べ放題になる。

■毎年1割増加

食事をしていた学生に聞くと「注文の時に頭の中で足し算をせず、一発で支払額が決まるので楽です」とのこと。あとはどれだけ食べるかに集中できるらしい。「客単価は1000円強。通常のガストよりも300円ほど高いです」と話すのは、チェーン展開するすかいらーくの陣内英樹さん(49)。2年前から新業態として始め、店舗数は150を突破。数年内に店数を倍増させる計画だ。

「でも、業界は苦戦してるって記事で読んだことがあるわ」。そこで明日香は調査会社、富士経済(東京都中央区)の上田周作さん(42)に尋ねてみた。

同社の推計によれば、ファミレス市場の2012年の売上高は1兆3628億円で減少が続くのに対し、食べ放題メニューを含むステーキ・ハンバーグ特化型は1774億円と前年を上回る。「すかいらーくのほかロイヤルホストなど大手が進出し、市場拡大は続きそうです」と上田さん。

「食べ放題はファミレスだけのブーム?」。明日香は飲食店検索サイト大手のぐるなびで「食べ放題」を探してみると、1000店ほどがヒットした。同社の沖田真弓さん(28)は「食べ放題を掲げる店は毎年1割のペースで増え続けています。すしや焼き肉、スイーツなどすそ野が広がっているのも最近の特徴です」と教えてくれた。

事務所への帰り道、明日香は地下鉄構内で都営地下鉄の1日乗車券の広告を眺めた。「観光に便利ね」。早速、東京都交通局に問い合わせると、三上容平さん(46)が「1日乗車券『都営まるごときっぷ』は年間100万枚強売れます。1977年の発売以来、息の長いヒット商品です」と説明してくれた。700円で地下鉄やバス、都電荒川線などが乗り放題。地下鉄の初乗り運賃は170円、バスは200円。目的地が地下鉄とバスを乗り継ぐ先なら、往復で1日乗車券の方が40円得になるわけだ。

「“お得感”が消費者の財布のひもを緩めさせているようです」。明日香の報告に、所長は即座に疑問を投げかけた。「『○×△放題』は企業や消費者にメリットばかりと言い切れるのかな」

ライフコラム 新着記事

ALL CHANNEL